イライジャ・ウッドとアンディ・サーキスが明かす、ピーター・ジャクソン監督現場にある“魔法”

インタビュー

イライジャ・ウッドとアンディ・サーキスが明かす、ピーター・ジャクソン監督現場にある“魔法”

J.R.R.トールキンによる「指輪物語」の前日譚に当たる物語を3部作として映画化する第一弾、『ホビット 思いがけない冒険』(12月14日公開)。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに引き続き、ピーター・ジャクソン監督がメガホンを取るとあって、期待度は高まるばかりだ。そこで、シリーズ続投組のイライジャ・ウッドとアンディ・サーキスにインタビューを敢行!ピーター監督とのコラボレーションの魅力を聞いた。

舞台は、シリーズから60年遡った中つ国。ホビット族のビルボ・バギンズを主人公に、ドワーフたちの王国奪還をかけた壮大な冒険が描き出される。本作のプロジェクトが立ち上がったのは、2006年のこと。公開まで6年の歳月を要するなど、様々な困難をチームで乗り越えてきた。そんななか、ゴラム役を演じるアンディは、今回、セカンドユニット監督として、映画監督デビューも果たしている。

アンディは、「ピーターには、たくさんのことを教えてもらった」と振り返る。「ピーターがもともとゴラム役を人間である僕に演じてほしいと言ったのも、本シリーズが、『SFX技術ってすごいだろう!』と、観客に見せつけるために作られたものではないから。ピーターは、ストーリーテリングにおいても、キャラクターの関係性においても、真実を追究する監督なんだ。フロドがテニスボールを相手に芝居をしなくても良いように、ちゃんとした俳優にお願いしたわけだよね」と賛辞を惜しまない。

さらに、「たとえどんなに派手な演出をしても、キャラクターに共感できなければ、観客はついて来てくれないということをよく知っているんだ。僕がセカンドユニットの監督をやっている時も、カメラワークによって、キャラクターや役者、演技がさらに向上するものだということを教えてくれた。人間としても、思いやりやエンパシーを強く持っている人なんだよ」と、監督の人柄に大いに助けられたと語る。

フロド役を演じるイライジャも、「僕もピーターについては、語りたいことがたくさんあるんだ!」と笑顔を見せた。「どれか一つを挙げるというのはとても難しいけれど、まず言えるのが、コラボレーションを大切にしている人だということだね。彼の現場にはヒエラルキーがないんだ。たとえば、助手や使い走りのような人であっても、良いアイデアがあれば、誰にでも耳を貸すし、それを採用することだってある。僕ら全員に、心から『この作品に参加しているんだ』という気持ちにさせてくれる。これほどの大作では、それは本当に珍しいことだと思う」と話すと、アンディも深くうなずいていた。

そして、「とにかく、ピーターの現場では、全員が『全力を出すんだ』という気持ちを強く持っている」とイライジャ。特に、撮影に入る前にピーターが言った言葉が忘れられないと続ける。「『この作品を作るということは、映画もそうだけれど、この映画を通して作られる人間関係というものも、同じくらい素晴らしいものになるだろう』と、ピーターが話していて。その言葉は、彼の本質をよく表していると思うんだ」。膨大な数のメンバーをまとめ、その情熱を引き出す魔法は、ピーター・ジャクソン監督の人柄にあったようだ。

最後に、これから映画を見る人々にメッセージをもらった。まず、シリーズのファンに向けて、アンディがこうアピールした。「『ロード・オブ・ザ・リング』において、しっかりと中つ国が作られて、それは皆さんがよく知る世界となった。『ホビット』の大きな魅力は、その世界観にとても忠実であり、並べて比べてみても、同じ世界に属しているストーリーだと感じられるところだね。それに加えて、ものすごく素晴らしく、鮮烈で、ユーモラスで、エキサイティングなキャラクターが登場する。クリーチャーたちもたくさん出てくるしね!」。

一方のイライジャは、「では僕は、『ロード・オブ・ザ・リング』を見たことがない人たちに」とコメント。「初めて見る人は、ビルボというキャラクター、そして『ホビット』から『ロード・オブ・ザ・リング』を続けて見ていけば、順序通りに、この世界のことを知っていくことができるよね。でも、『ホビット』は一本だけでも成立する映画だし、ピーターは、そのなかにたくさんの情報を詰め込んでいる。この中つ国の物語の、美しいイントロになっていると思うよ」と話してくれた。

「心を一つにして、全力で取り組んだ」と、ふたりが胸を張る本作。気さくで笑顔の絶えないイライジャとアンディを見ているだけでも、チームワークの充実ぶりがひしひしと感じられた。『ロード・オブ・ザ・リング』トリロジーの存在が大きいだけに、『ホビット』にも大きな期待がのしかかるが、ピーター・ジャクソン率いるチームの心意気も十分!是非ともスクリーンで壮大な物語を堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】

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