第85回アカデミー賞ノミネーション、監督賞の番狂わせに関係者も衝撃!
現地時間1月10日に第85回アカデミー賞のノミネーションが発表された。今年は予測と結果にあまり大きな違いがないと考えられていたが、蓋を開けてみると、今年ほど予測が外れた年はないといっても過言でないほどのサプライズがあった。
今回、一番の番狂わせとなったのが監督賞だ。これまでの各賞結果から、スティーヴン・スピルバーグ監督『リンカーン』(4月19日公開)、キャスリン・ビグロー監督『ゼロ・ダーク・サーティ』(2月15日公開)、アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(1月25日公開)、そしてベン・アフレック監督『アルゴ』(12)のノミネーションは確実視されており、残り一つの席を数人で争うことが予想されていた。にもかかわらず、ベン・アフレックと『ハート・ロッカー』(08)で第82回アカデミー監督賞を受賞したキャサリン・ビグローが候補から外れたことは業界関係者の間でも大きな衝撃となったようだ。
そのうちの一席を奪ったのは、『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(4月公開)のベン・ザイトリン監督だ。弱冠9歳のクヮヴェンジャネ・ウォレスの主演女優賞ノミネートや、作品賞の候補には挙がっていたが、監督賞に関しては全く予想外の展開で、クエンティン・タランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざる者』(3月1日公開)、トム・フーパー監督『レ・ミゼラブル』(公開中)、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ザ・マスター』(3月22日公開)ら、ベテランを押しのけてのノミネートはまさに大きなサプライズとなった。
次に主演男優賞では、ノミネートが確実視されていたジョン・ホークス『The Sessions』がサプライズ落選したほか、主演女優賞では9歳で最年少ノミネーションとなったクヮヴェンジャネ・ウォレス『ハッシュパピー バスタブ島の少女』と最年長ノミネーションとなったエマニュエル・リヴァ『愛、アムール』(3月9日公開)に代わって、アカデミー女優のマリオン・コティヤール『君と歩く世界』(4月6日公開)、ヘレン・ミレン『ヒッチコック』(春公開)、レイチェル・ワイズ『The Deep Blue Sea』がそろって落選した。
また、助演女優賞もアカデミー女優のニコール・キッドマン『ペーパーボーイ』(夏公開)やジュディ・デンチ『007 スカイフォール』(公開中)を蹴落として、大穴にも挙がっていなかったジャッキー・ウィーヴァー『世界にひとつのプレイブック』(2月22日公開)がノミネートされたのもまた大きなサプライズとなっている。
助演男優賞はレオナルド・ディカプリオ『ジャンゴ 繋がれざる者』が、『イングロリアス・バスターズ』(09)でブラッド・ピットがそうだったように、クリストフ・ヴァルツにまたもやお株を奪われてしまったほか、第70回ゴールデングローブ賞ノミネートでも涙を呑んだマシュー・マコノヒー『マジック・マイク(原題)』(当年公開)がまたもや辛酸をなめた。
10作品を選べるにもかかわらず、今年も9作品に絞られた作品賞に大きなサプライズはなかったが、007シリーズ50周年記念作であり、世界興収10億ドルを突破している大ヒット作『007 スカイフォール』は作品賞、主演男優賞、助演女優賞、そして期待されていたハビエル・バルデムも助演男優賞に選ばれなかった。一方で、アデルの歌曲賞や音響効果賞などが選ばれたのは、いかにもアカデミー賞らしい結果であり、何らサプライズではないのかもしれない。しかし、視覚効果賞に大ヒット作『ホビット 思いがけない冒険』(公開中)、『アベンジャーズ』(12)、『スノーホワイト』(12)、そして『プロメテウス』(12)が選ばれるなか、3部作の最終編となったクリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト ライジング』(12)が総スカンを喰らったのは、“らしい”と言う言葉で片付けられるのか?今年のアカデミー賞もまた例年どおりの疑問を投げかける、“らしい”結果となったのは間違いない。
ノミネーションの混戦具合から、受賞結果発表にも大きなサプライズがあるかもしれない。アカデミー賞授賞式は現地時間2月24日(日)にドルビー・シアターで開催される。【NY在住/JUNKO】