第70回ゴールデングローブ賞は許容と家族愛と告白で幕を閉じる

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第70回ゴールデングローブ賞は許容と家族愛と告白で幕を閉じる

現地時間1月13日に開催された第70回ゴールデングローブ賞は、第85回アカデミー賞ノミネート落選のベン・アフレック監督の『アルゴ』(12)が、スティーヴン・スピルバーグ監督と監督作『リンカーン』(4月19日公開)を下して作品賞と監督賞をW受賞し、ベンが会場からスダンディングオベーションを受けて幕を閉じた。

この結果は、ある意味、アカデミー会員が未だに許していない、ジェニファー・ロペスとの破局の一件などによって業界から干されたベンを、ハリウッド外国人映画記者協会の会員や俳優、監督仲間たちが受け入れた証であり、ベンがハリウッドで復活を果たした日となった。

「受賞に関わらず、巨匠監督の中に混じって監督賞に名を連ねているだけで光栄です」と受賞スピーチで興奮気味に語ったベンは、早口で関係者に感謝の意を述べたが、その後、プレゼンターとして登壇した妻のジェニファー・ガーナーが、「夫が、ふたり名前を言い忘れてしまったようです。プロデューサーのジョージ・(クルーニー)とグラント・(ヘスラグ)なくして、この作品は製作できなかったので、ここで感謝の意を述べたいと思います」と夫ベンを優しくフォローする微笑ましい光景があり、会場は温かい拍手に包まれた。また業界の兄貴分的存在で、信頼の厚いジョージがベンを全面的にサポートする姿も非常に印象的だった。

また、ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞を受賞したヒュー・ジャックマンがスピーチで、トム・フーパー監督に、「今まで話したことがなかったのですが、リハーサルで上手くいかなくて本当に辛くて、『この役は、他の俳優にお願いしてください』と電話しようとしたんです。そうしたら妻に止められました」と、妻デボラの支えなしには、この作品に出演していなかった可能性を激白する場面もあった。

そして、今回の授賞式で一番のハイライトとなったのは、セシル・B・デミル賞を受賞したジョディ・フォスターが、正式に同性愛者であることをカミングアウトした瞬間だった。

この事実は既に多くの人が知るところとなったが、「私は50歳です。メディアが公の場所でプライベートなことを話すことを望んでいるので言いますが、私は同性愛者です。そして、今はシングルです」と、恋人と破局していることも堂々と告白した。また、精子バンクで授かったと言われているふたりの息子を同伴し、公の場で披露した他、鳴かず飛ばずだったジョディの監督作『それでも愛してる』(11)に出演したメル・ギブソンを同伴させたことも、サプライズとなった。

飲酒運転やユダヤ人差別発言、さらには恋人に罵声を浴びせているテープ露出事件でハリウッドから干されてしまったメルに、「いろんな人に辛い時期を支えてもらったけれど、メルにも随分助けられたのよ」と感謝の意を評したジョディ。2012年の同授賞式で、「僕がドラッグで警察に捕まった後に声をかけてくれたのは、メルだけだった」と語ったロバート・ダウニー・Jr.が今回、ジョディの紹介を行い、そのロバートとジョディ、そしてメルが一緒のテーブルに座る姿は、ジョディが自らの新たな旅立ちの日に、仲間たちにメルの許しを請う日にもなったようだ。

3歳でデビューを果たし、47年間のキャリアの中で、44の賞を受賞している実力者のジョディが、「人に喜びを与えることができる役者という仕事は素晴らしい。辛い時があっても、一人じゃなくて私がいることを思い出して頑張ってほしい」と語り、会場の涙とスタンディングオベーションを誘った。

アカデミー賞授賞式同様、ゴールデングローブ賞授賞式も視聴率が低迷するなか、ティナ・フェイとエイミー・ポーラーという新しい司会者を迎えたことでどのような結果を出したのか、世間が下した審判の結果もまた楽しみだ。【NY在住/JUNKO】

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