濱田岳に母性本能が目覚めた倉科カナ「岳君が可愛らしく感じられてきた」
『アヒルと鴨のコインロッカー』(07)の中村義洋監督最新作『みなさん、さようなら』の初日舞台挨拶が、1月26日にテアトル新宿で開催され、主演の濱田岳、倉科カナ、永山絢斗、波瑠、大塚寧々、中村義洋監督が登壇。満員の会場を前に、濱田は「メンバーみんなで楽しく作った映画です。見てもらいたくてソワソワしていました」と笑顔で挨拶した。
本作は、第1回パピルス新人賞を受賞した久保寺健彦の同名小説を原作に、「団地から出ない!」と決めた多感な少年・悟の20年間を、ユーモアを交えながらも感動的に描く異色の青春物語だ。主人公の悟役に抜擢された濱田は、劇中で12歳から30歳までを一人で演じ切っており、12歳の役作りについては「みんなについていくだけで良かったので、意外と大変ではなかったんです。皆さんの母性を感じると、だんだんと気持ちが甘えていって、声も高くなっていった。できたものを見ると、『うわー、あいつ甘えてるよ』って恥ずかしくなりましたね」と照れ笑いを浮かべた。悟を温かく見守る母親役の大塚は、「12歳から30歳までを演じられる彼は素晴らしい。本当に違和感がないし、私はカメラが回っていない時も、小さい子に話しているように接していました」と振り返り、監督も「今回は本当に皆さんに助けられたね、岳ちゃん」と周囲に感謝しきりだった。
悟の初恋の相手役を演じたのが倉科だ。「私は母性本能が強い役だったので、だんだん、岳君を見ても可愛く感じられてきて。母性本能に目覚めました」とはにかんだ。また、悟の同級生に扮した永山も、中学生役にチャレンジしており、「僕、濱田君と同い年なんですよ。中学生役は初めてやりましたね。変な役だったので面白かったです。僕の体に、一つハンコが押されました。監督、ありがとうございました」と小さな声で感謝を述べた。中村監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』では永山の兄・瑛太をキャストに迎えており、「このテンションの低さを見て、6年前の瑛太君を思い出した。そっくりですよ!」とからかうようにコメント。「彼はテストの時は『ええー』って思うんだけど、本番がすごく良いんですよ。それで良いと思います!」と永山と顔を見合わせ、ふたりで表情を緩ませるなど、チームワークの良さがひしひしと伝わってきた。
生き生きとした登場人物が織りなす団地ヒューマンムービー『みなさん、さようなら』。エレファントカシマシの主題歌「sweet memory」も、力強くて優しい本作との相性抜群で、さらなる感動を呼び起こしてくれそうだ。【取材・文/成田おり枝】