未曾有の悲劇から2年、3.11を振り返る映画が続々
東日本大震災から2年が経とうとしている。あの大災害が私たちに何をもたらし、この社会をどう変えてしまったのか、その問いに答える作業は決して簡単なものではない。だが、10年後、20年後に訪れる次の世代のためにも、私たちはその作業を続けていかなければならないはずだ。そんななか、改めてあの未曾有の悲劇を振り返ろうとする映画が続々と公開を迎える。
その筆頭となるのは、やはり被災地の姿を直接とらえたドキュメンタリー作品だろう。ジャパニーズホラーを代表する作品『リング』(98)を手がけた中田秀夫監督の『3.11後を生きる』(2月23日公開)や、被災地の子供たちのその後をとらえた『津波のあとの時間割 石巻・門脇小・1年の記録』(2月23日公開)などは、未だ癒えることのない人々の悲しみを真っ向から切り取った作品だ。被災地を勇気づけた地元の即席ラジオ局を映した『ガレキとラジオ』(春公開)など、大きな喪失に打ちひしがれる人々の姿を描きつつも、時にポジティブさすら感じさせる作品も増えてきている。
もちろん、フィクション作も震災と向き合うことを忘れてはいない。遺体安置所でのドラマを描いた君塚良一監督による『遺体 明日への十日間』(2月23日公開)や、震災で恋人と離れ離れになってしまった女性を描く『あれから』(3月9日公開)など、震災を直接的な題材にした劇映画はその代表格だ。また、園子温監督の『ヒミズ』(12)や『希望の国』(12)の他、山田洋次監督の『東京家族』(公開中)など、震災後の日本を舞台とし、間接的にその悲しみを描き出した作品も既に制作されている。
2年の時が過ぎ、改めて映画の中にも色濃く影を落とし始めている東日本大震災。これらの作品と共に、この2年間を振り返ってみてはどうだろうか。【トライワークス】