佐藤二朗と亀井亨監督が語る『マメシバ一郎』の人気とは?

インタビュー

佐藤二朗と亀井亨監督が語る『マメシバ一郎』の人気とは?

偏屈だけれどなぜか憎めない、中年ニートの芝二郎とマメシバ犬の一郎の交流を描いた映画『マメシバ一郎 フーテンの芝二郎』が2月9日(土)より公開される。今回、超個性派俳優でもあり、自ら脚本や監督も手がける佐藤二朗と、『幼獣マメシバ』(09)、『マメシバ一郎』(11)に続きメガホンを取った亀井亨監督に話を聞き、マメシバシリーズの人気の秘密を語ってもらった。

――シリーズ3作目ですね。ここまで支持を集めた理由はどこにあると思いますか?

亀井「不思議ですよね(笑)。佐藤さんをはじめ、万人受けする要素が少ないので、ここまで愛していただいて本当に予想外ですね(笑)」

佐藤「芝二郎のキャラクターは、10人中7人位が、生理的に無理っていう反応で、2人か3人は絶賛してくれれば良いと思って演じたけれど、意外と受け入れられて、むしろ不満なほど(笑)。いや、でもこうして続くことは良いことなので、素直に嬉しいです。でも、(アゴに手を当てて)“んんっ”て何度もやるとは思っていなかったですね(笑)」

亀井「どこか通常の映画じゃないようなことができれば良いやっていう共通認識が佐藤さんとの間にあって、有り体のものではないラインには立ちたいとは思っていましたね」

佐藤「よく考えなくても、これ、動物ものじゃないですか。既に子犬を出している時点で媚びていますよね?そこで、ひねくれ者の僕らは、それに反しようとは思っていないけれど、人がやっていないことをやろうとは思っていました。普通の動物ものじゃない何かをね。その結果、意外と人がついてきてくれているっていうことですね」

――単なる可愛いだけの犬ドラマではないのですが、他の動物映画との違いは何でしょう?

亀井「同じ動物を扱った映画を見ると、善人しか出てこないので安心しますよね。でも、二朗さんのキャラクターが代表的ですが、このシリーズは人間的に好ましくないキャラクターの人たちが右往左往するって話です。それを、ちょっと心のひねた人たちがちゃんと見ていてくれて、退屈なものに飽きた人たちが集まっている気がしていますね」

佐藤「大きな魅力の一つは、芝二郎のセリフにあると思いますね。脚本は永森裕二さんという人が書いてるんですが、何というか、セリフに詩があるんですよね。そういう才能ある人が一人いて、ぐいぐい引っ張る作品はやっぱり面白い。僕たちは永森さんの脚本に絶対の信頼を置いていますしね」

亀井「普段、永森さんが話している言葉が、そのまま会話になっていると思います。でも、僕がいて、二朗さんがいて、永森さんがいて、似たようなひねくれ者たちがそろっているので、疑問点があまりない。同じ方向を向いていることが良いことだと思います」

――最後に、待っているファンにメッセージをお願いします

亀井「どうしても社会に出ていく以上、他人とコミュニケーションを取らなければいけないですよね。芝二郎は他人と上手くコミュニケーションできないけれど、それがあるから面白いわけで、人と上手くやっていけないけれど、頑張っている姿が良かったりする。その姿勢を3作目でも貫いたつもりなので、期待してほしいですね」

佐藤「シリーズで一貫して人と動物のリアルな距離感を描いてきたけれど、動物を擬人化して、お涙ちょうだいみたいな映画では決してないです(笑)。今回の作品には、そのテーマがもっとも如実に表れていると思うので、楽しみにしてほしいです」

単なる可愛いだけの犬ドラマではない、芝二郎とマメシバ犬の一郎が繰り広げる異色の物語を是非劇場で楽しんでもらいたい。【Movie Walker】

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