オダギリジョーの「自分が一番真面目」発言に、松田龍平も苦笑い
2012年度の本屋大賞で第1位に輝いた、三浦しをんの同名ベストセラーを映画化した『舟を編む』(4月13日公開)。完成披露試写会が2月19日に丸の内ピカデリーで開催され、松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、そして石井裕也監督が舞台挨拶に登壇。松田は「いつも何気なく使っている言葉が、違った角度から見ることができる良い映画。スピーディーに答えが出ることが多いなか、回り道をすることの面白さを知ってもらえたら」と手応えを語った。
本作は、老若男女揃った個性豊かな辞書編集部の仲間たちが、気の遠くなるような歳月をかけて、24万語収録の辞書を作り上げていく姿を描くヒューマンドラマ。松田は言葉に天才的なセンスを持つ主人公・馬締役を演じている。松田は「コミュニケーションが苦手な馬締が、辞書を作るというのが面白いと思った。本オタクでたくさん言葉を知っているのに、言葉がうまく出せない男が、辞書を作りながら成長していくんです」と本作に感じた魅力を教えてくれた。
主人公がひと目惚れをする女性を演じた宮崎は、板前役に初挑戦している。「背筋がピンと伸びる気がしました。器と食材の相性など、今まで以上に考えるきっかけになりました」と充実の表情。お調子者の編集者をコミカルに演じているオダギリは「演じた役柄をお調子者と紹介されると恥ずかしい」と苦笑いしながらも、「脚本を読みながら、辞書を作るということがこんなに面白いものなのかと思った」と話してくれた。
また、“真面目”に頑張る主人公にちなんで、それぞれが“一番真面目だと思う人”を発表した。松田は「石井監督かな。撮影では意見がぶつかることもあって。その度に、1回保留にして家に持ち帰ってから、次の日にまたその話をするということがあった」と撮影時のエピソードを披露。宮崎は「黒木さんが真面目だと思います」と話し、「個人的にすごく好きな女優さんで。真面目だけれど、変な毒を持っている。そのバランスがすごく好きなんです」とにっこり。これには黒木も「毒ってなんですか?」と顔を赤らめていた。またオダギリは、「自分が一番真面目なんじゃないかな。ちゃんとしたことが好きで、人にはちゃんとしてほしいんです。自分には甘いんですけどね」と答え、会場の笑いを誘っていた。
デジタルで撮影される映画が多いなか、今回、石井監督は35mmフィルムでの撮影を敢行。石井監督は「フィルムもそうですが、辞書作りをしている人たちもアナログの手法で作っている。その人たちに寄り添うように、映画を作れたら良いなと思った」と作品に込めた思いを明かしてくれた。言葉の面白さと人生の豊かさが、フィルムの温かみある映像で描かれる『舟を編む』。春風吹く季節の公開が、今から楽しみだ。【取材・文/成田おり枝】