雨宮慶太監督「気に入っている作品で夕張に来られた」と感無量
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013が、2月21日に華々しく開幕。2月22日には、招待作品『牙狼 GARO 蒼哭ノ魔竜』(2月23日公開)の舞台挨拶が開催され、雨宮慶太監督が登壇。「やっと夕張に来られました。1988年に『未来忍者 慶雲機忍外伝』を東京ファンタスティック映画祭で上映して、ファンタスティック映画祭でデビューした人間なんです。一番気に入っている映画を持って、夕張に来られたのが嬉しい」と、喜びを語った。
本作は、独創的な創造力と映像表現で注目を集める雨宮監督により、常に新しい挑戦を続けてきた特撮ドラマ「牙狼 <GARO>」シリーズの劇場版最新作。約7年にわたって続いてきた最強の魔戒剣士・冴島鋼牙の物語の最終章となる。雨宮監督は「牙狼のスタッフの7年間の思いを形にしました。ちゃんと牙狼になっていましたでしょうか?」と会場に語りかけ、熱い拍手を浴びた。
最新のCG技術を駆使し、ファンタジーとアクションが融合した世界を作り上げた。監督は「ほぼ全編をグリーンバックで撮影しています。セットがないところで役者さんにお芝居をしてもらって、それから合成する。実は僕も、撮影をしている時は背景のことをあまり決めていなかった」と振り返った。
敵役の悪の女王ジェダム役に扮するのは松坂慶子だ。女優人生で、初のワイヤーアクションにチャレンジしているが、雨宮監督は「松坂さんのスケール感に合わせて、シーンごとに背景を変えていって。俳優さんのお芝居に引っ張られて作ったのは、スリリングで楽しかった」と、松坂の存在感を絶賛、大女優とのコラボレーションに大満足の様子だった。さらに「松坂さんが演じたジェダム役は、フィルムの化身。ジェダムのシーンにはフィルムの良さを出すために、デジタルなんだけど、フィルムの粒子を入れるなど、僕なりに35mmの映画への愛を込めた。日本を代表する女優さんでないとできない役だった」と映画に込めた思いも教えてくれた。
また、集大成には、もの作りに対するメッセージを入れたかったとも言う。「7年やってきたスタッフへのリスペクト、そしてファンの方へのリスペクトも入っています。牙狼を作っている人たちは特別な人じゃなくて、お客さんも、もの作りと地続きになっていることを感じてもらえれば」と力強く語った。
最後には黄金騎士ガロも駆けつけ、勇ましい姿を披露。ロビーでも写真撮影に応じるなど、夕張のファンから歓声を浴びていた。圧巻の映像、ドラマティックな展開はスクリーンでこそ味わいたい。雨宮監督渾身の一作を是非とも劇場で楽しんでほしい。【取材・文/成田おり枝】