大地康雄が「心にじんじん響く」と万感の思い
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭招待作品『じんじん』(5月18日北海道先行公開)の舞台挨拶が、2月24日にアディーレ会館ゆうばりで開催され、大地康雄、小松美咲、井上正大、そして山田大樹監督が登壇。北海道剣淵町にほれ込み、企画・主演を務めた大地は「大人にも子供にも伝えられる良い映画ができた」と感無量の面持ちで挨拶した。
本作は、人と人との心が通い合う“絵本の里づくり”を目指した剣淵町の姿を描く愛の物語。大地は「4年前に剣淵町に立ち寄った時に、農家のおじさんが、仕事の合間に絵本館にやって来ては、読み聞かせをやっているのを見て。子供たちが笑い転げたり、涙ぐんだりしているんです。その輝く瞳が脳裏に焼きつきました」と述懐。「絵本が親子の絆を深めている。剣淵町には優しい空気が流れているんです。その私が感動したことを伝えられれば」と映画に込めた思いを話してくれた。
小松も「剣淵の方々が皆さん素敵で。ご飯も美味しかった」と振り返った剣淵でのロケ。農家の青年役を演じた井上は、役作りのために農業研修に励んだそうで、「農家に実際に泊まらせていただいて。牛舎の世話が大変でした。朝5時から世話をするんですが、牛って心を開いてくれないとどんどん糞をするんです。2、3日するうちに糞をしなくなってきました」と、貴重な経験を告白。それを笑顔で聞いていた大地は「井上君はオーディションで選ばせてもらったんだけど、彼はシティボーイだから、『農家の息子になるのか』と反対意見もあった。でも監督が、『彼の目が良い』と言って」と、抜擢の理由を教えてくれた。
またこの日は、剣淵の佐々木智雄町長も舞台挨拶に駆けつけた。「剣淵でこんなに素晴らしい映画ができるなんて夢のようです」と感激の面持ちで、「撮影中は炊き出しをしたり、エキストラに出られるのをみんな楽しみにしていました」と映画と町の人々の交流を語ってくれた。さらに「剣淵町では毎年、『絵本の里大賞』を決定しています。今日はこれまでの大賞22作品の絵本をプレゼントしたい」と、絵本の里から夕張の子供たちに絵本が贈られた。
最後に大地が「私利私欲ではなく、志でこそ良いことができる。心にじんじん響く映画だと思います」と万感の思いを語った。地元に根ざした映画の誕生を、夕張の会場も温かな拍手で歓迎していた。【取材・文/成田おり枝】