シナリオハンティングから生まれたラッキーボーイ、次回作でS・ヨハンソンとラブシーン

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シナリオハンティングから生まれたラッキーボーイ、次回作でS・ヨハンソンとラブシーン

ケン・ローチ監督が、若者が仲間や師との出会いから人生を再生する姿を描いた『天使の分け前』(4月13日公開)。本作で主演を務めたポール・ブラニガンは、脚本家ポール・ラヴァティのシナリオハンティング中に出会ったことから主演をつかんだラッキーボーイだ。

本作の主人公ロビーばりの荒れた生活を送ってきたブラニガンだが、生活を立て直し、コミュニティセンターで働いていた時に、ラヴァティが会いに来たという。ブラニガンに何度も話を聞くうちに、ラヴァティは「ケン(監督)に会わせたい」と思い打診。しかし、既にコミュニティセンターの仕事を失い、絶望していた彼は、二度も約束をすっぽかした。それでもラヴァティは諦めず、「重い腰を上げてこっちへ来い。ここにはお前のチャンスがある」と連絡をしてきたという。そして、気付けば主演俳優に。その後、本作は2012年の第65回カンヌ国際映画祭で審査員賞を獲得した。

ポール・ブラニガンは既に次回作に出演。ジョナサン・グレイザー監督『Under the Skin』(全米2013年公開予定)で、主演はスカーレット・ヨハンソンだ。ブラニガンが明かしたところによると、いつもと違う黒髪のヨハンソンに誘惑される役柄でラブシーンもあったという。グラスゴーの不良から、俳優に。そしてヨハンソンとラブシーンという人生に、彼の友人は誰も信じてくれなかったそうだ。

また、アルバートを演じたガリー・メイトランドは『SWEET SIXTEEN』(02)、『明日へのチケット』(06)に出演しており、日頃は清掃の仕事をしている。その日も、グラスゴーの大通りで清掃の仕事に精を出していたところ、彼の前に“カンヌ映画祭の受賞作『天使の分け前』”と大きな広告が車体に描かれたバスが停車。その日は『天使の分け前』のスコットランドのグラスゴーでの初日だったため、ガリーはその広告を見て、通りを行く人たちに「これは俺だぞ!」と叫んだ。皆が「えっ、ここで清掃をしている人が、カンヌの映画の俳優なの?」と目を丸くし驚いていたようだ。

デビューの頃から労働者に寄り添ってきたケン・ローチ監督。27本目となった本作でも、その姿勢は変わることはない。夢をつかんだ主演俳優と、今でも清掃の仕事に精を出す出演俳優。どんな若者にも人生にはチャンスが転がっている。その手助けをケン・ローチ監督は本作でも果たしたのだろう。【Movie Walker】

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