山田洋次監督、新作の恋愛映画への思い「初体験のようでドキドキした」

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山田洋次監督、新作の恋愛映画への思い「初体験のようでドキドキした」

山田洋次の監督第82作目『小さいおうち』(2014年1月公開予定)の製作会見が、4月15日に東宝スタジオで開催。松たか子、吉岡秀隆、黒木華、片岡孝太郎、妻夫木聡、倍賞千恵子、山田洋次監督が登壇。原作に惚れ込み、映画化を熱望する手紙を送ったと言う山田監督は「すぐにでも作りたいという気持ちにさせられたのは初めてです」と、熱い思いを語った。

山田監督は原作について「ドキドキするような色気の向こうの不安。読みながらドキドキしました」とコメント。映画についても「こういうタイプの映画を作るのは初めて。松たか子さんが吉岡くんを訪ねるシーンを撮りながら、僕まで一緒にドキドキして。初体験のような世界を恐る恐るたどっていきました」と新鮮な思いを口にした。

『隠し剣 鬼の爪』(04)以来、9年ぶりの山田組に参加した主演の松たか子は「とても楽しい濃い撮影です。半分過ぎましたが、まだ、何かが起こるんじゃないかと」と、充実感あふれる表情でコメント。歌舞伎界から山田組に初参加した片岡孝太郎は「僕は即興性とかができない人間なので、迷惑かけちゃって」と恐縮顔。同じく初参加の黒木華は「1つひとつ親切に教えてくださるので、いつもありがたいです」と語った。また、山田組常連の吉岡は「山田組で興奮している日々です」と言い、『東京家族』(公開中)に続いて参加した妻夫木聡は「厳しくも温かくもある演出で、僕自身も成長できたので、再度、僕自身も成長できたらなと」と熱い思いを語った。

映画界でもデジタル化が進むなか、山田監督は本作をフィルムで撮影しているが、そこには大きな葛藤があるようだ。「この1年、どんなに悩んだか。そのことによって、映画表現が豊かになったのかというのが問題です。むしろ、これは合理化。フィルムで育った人間としては、腹立たしく思えて仕方がない。僕は、生きている内はフィルムにしようと思う。編集技師や録音技師たちと一緒に仕事をしていこうと思っています」。最後には、タイトルにある“小さなおうち”をバックにフォトセッションを行った。

原作は、直木賞を受賞した中島京子の同名小説。東京郊外の“小さいおうち”で起こった恋愛にまつわる事件の真実が、戦前の昭和と、平成の2つの時代を通してひも解かれていく。3月1日から同宝スタジオでクランクインし、10月に完成予定だ。【取材・文/山崎伸子】

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