第66回カンヌ国際映画祭、作品の見どころは?

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第66回カンヌ国際映画祭、作品の見どころは?

5月15日(水)から開幕する2013年の第66回カンヌ国際映画祭。公式上映作品でオープニングを飾るのはバズ・ラーマン監督のレオナルド・ディカプリオとキャリー・マリガン、トビー・マクガイア主演『華麗なるギャッビー』(日本6月14日公開)、またクロージングはオーランド・ブルーム主演『Zulu』で監督は『ラルゴ・ウィンチ』シリーズのジェローム・サル。

今回の審査員に関しては、短編と学生映画部門の審査委員長がジェーン・カンピオン監督、ある視点部門の審査委員長がトマス・ヴィンターベア監督と発表され、カンピオンと共に審査するメンバーも発表されている。そして、メインとなるコンペティションの審査委員長がスティーヴン・スピルバーグと決まってから2ヶ月近くが経ち、ようやく発表されたその他の審査員たち。第85回アカデミー監督賞を受賞したアン・リーをはじめ、ダニエル・オートゥイユ、ヴィディヤ・バラン、河瀬直美監督、ニコール・キッドマン、クリスチャン・ムンギウ監督、リン・ラムジー監督、クリストフ・ヴァルツという豪華な顔ぶれになった。

2013年のラインナップを見てみよう。コンペは最終的に20本で、ほとんどがおなじみの顔ぶれである。2012年はインディ系の新顔がそろっていたアメリカ勢だが、2013年はカンヌ御用達のベテランたちがそろい踏みだ。フランス勢はコンペとある視点部門ダブルノミネートのポランスキーを筆頭に、やはりベテランが並ぶ。

ある視点を含めても、毎年必ずと言って良いほど話題作を送りこんできた韓国作品が見当たらないのが意外とも言える。その代わりなのだろうか、日本作品が2本、どちらもカンヌ好みの監督、是枝裕和『そして父になる』(10月5日公開)と三池崇『藁の盾 わらのたて』(公開中)がコンペに選出されているのは楽しみなところだ。ちなみに、三池監督は『愛と誠』(12)の特別上映を含めれば3年連続のカンヌである。

チャド、チュニジア、フィリピン、カンボジア、パレスチナという、あまり日本で見る機会のない国の作品にも期待するが、『別離』(11)で第61回ベルリン国際映画祭金熊賞と第84回アカデミー外国語映画賞を獲得したイランのアスガル・ファルハーディー監督がフランスの俳優を使い、フランス映画を撮って出品しているのも興味深い。

2012年、ある視点部門に出品され、カメラ・ドール(新人監督賞)、国際批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、若者の視点賞を受賞し、第85回アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞の4部門にノミネートされるという快挙を成し遂げた『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(公開中)は、サンダンス映画祭グランプリを皮切りに快進撃を始めたのだが、2013年もサンダンス映画祭のグランプリと観客賞をW受賞したライアン・クーグラー監督『Fruitvale Station』が、ある視点部門に出品されている。サンダンス→カンヌ→オスカーというスター監督への道が2013年も開けるか、期待しておきたいところだ。

ソフィア・コッポラ、ジェームズ・フランコなど、アメリカのセレブ監督の作品出演者にはテレビシリーズの人気者やヤングセレブの名前が並んでいる。ハリウッドもスターの世代交代が激しく進んでいるのだと突きつけられる思いだ。もはや、ブラッド・ピット&ジョニー・デップの時代ではないのかもしれない。

それにしても気になるのが、ある視点部門の『Anonymous』だ。タイトル以外、何もわからない覆面作品。タイトルにしても、これが正式タイトルなのかすら不明である。

さて、このような公式上映作品ラインアップだが、このなかからどんな作品が注目され、話題になり、そして受賞するのか。2013年、第66回カンヌ国際映画祭開幕まで間近である。【シネマアナリスト/まつかわゆま】

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