アニメ映画の劇場公開とソフトの同時発売は高クオリティの証拠?

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アニメ映画の劇場公開とソフトの同時発売は高クオリティの証拠?

優れた映画の鑑賞後、すぐに「もう一度見たい!」と思ったことはないだろうか?時間やお金などの制約もあり、劇場で実際に実行に移すのはなかなか難しいことだが、もしその日のうちにDVDやBlu-ray(以下BD)が入手できたら、家でじっくり反芻して楽しむことができるはず。そんな中、公開と同時にソフト発売を行う流れがここ数年、アニメ作品で増えている。

この手法がメジャーになったのは、『機動戦士ガンダムUC』シリーズの成功がきっかけといわれている。10年2月20日から映画館でイベント上映された『機動戦士ガンダムUC』の第1話では、先着1万名限定でBD版が販売された。以後、同シリーズはBDのみだがイベント上映時に劇場限定版として販売を続けており、その後の通常版のセールスも好調。昨年までに発売されたBD5作品すべてが、年間総合TOP10入りを果たす人気ぶりだ。12年4月7日から劇場公開がスタートした『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズや、6月22日(土)公開の『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』でも同じ手法が取り入れられている。

そんな流れをさらに加速させそうなのが、『秒速5センチメートル』(07)で知られる新海誠監督の最新作『言の葉の庭』(5月31日公開)だ。前述のものはシリーズ作品かつBD版のみの販売だったが、同作では、BD、DVDともに公開と同時に劇場で先行発売が行われるのだ。アニメ作品は圧倒的にBD版のほうが販売枚数が多いとはいえ、DVDプレーヤーしか持っていない人も少なくないだろうし、幅広い支持を受ける新海監督作品で実現したのはうれしい限りだ。

DVDなどにも出費を惜しまないファンが多い作品であれば、映画館に足を運んでくれる特に熱心な観客に確実に届けられるこの手法は、今後より広がっていきそうだ。また、アニメ作品の場合、制作スケジュールの都合で作画が間に合わなかったり、影や光の当て方がおかしかったりした箇所を公開後のソフト発売時に合わせてリテイクしたりするケースも多々あるが、同時発売の場合、そういったことができないため、より完成度の高い作品になるように制作スタッフも気合が入るのかも?同時発売=クオリティの高いアニメ作品という公式も成り立ちそうなこの流れが今後、どこまで加速していくのか楽しみにしたい。【トライワークス】

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