大泉洋、決死のアクションに「面白いと思えるなら、やるしかない」
またもや、しょっぱなから探偵危うし!見るだけで目眩がしそうな高さの大倉山ジャンプ競技場で、捕らわれの身となった探偵がいきなり危機一髪状態に。大泉洋主演の大ヒット作の続編『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(5月11日公開)は、前作に続き、つかみOKで、ぐいぐいと引き込まれるスリリングな作品に仕上がった。果たして、大泉扮する探偵の運命は!?大泉にインタビューし、本作への思い入れと、命知らずともいえるアクションの舞台裏について聞いた。
北海道在住の作家・東直己の人気探偵小説を、北海道出身で地元愛が強い大泉洋主演で映画化した本シリーズ。大泉は「北海道が舞台というのは大きいです」と話す。「やるからには北海道にとって利益になることをしたい。映画がきっかけで、北海道にいろんな人が観光に来てくれれば嬉しいですし。だから、舞台が北海道の作品は、嬉しいけどプレッシャーもあります。こけるわけにはいかないので」。
本作は、前作にも増して、ド派手なアクションが満載だ。「台本はどんどん変わります。まず、プロデューサーの須藤(泰司)さんが叩き台の脚本を書き、古沢(良太)さんがディテールや伏線を描いてくれる。それで、一番最後にロケハンをしたアクションコーディネーターの諸鍛冶(裕太)さんが『こんなことできます』と、アクションをズドーンと足すんです。今回も、最初の脚本では、確かジャンプ場で逆さまに吊られていて。街が逆さに見えるところから始まっていて、のっけから笑っちゃいました。どうやらこの映画は探偵が一番最初に、何かをやられているという縛りがあるようで。次はどんなやられ方をするのだろうと、そこを楽しみにされると、だんだん厳しくなっていきます(笑)」。
アクションへの欲は増していくのか?と尋ねると「それはないです」と即答。「もっと良いアクションをやらなきゃ、頑張らなきゃという思いはありますが、もっともっとやりたいとは思わない(苦笑)。ただ、やっている時は痛いし、怖いし、大変だけど、できあがりを見るのはすごく楽しみです。まあ、人が『おお!すごい』と驚くようなシーンの場合、現場は絶対大変なんです。大変なことをしないと、人が面白いと思うシーンにはならないから。それをCGでやることは、役者にとっては楽かもしれないけど、やっぱり見ればわかりますし、生身でやっているとわかると、いっそう面白いですから」。
実際に、大泉はスキー板を付け、決死のジャンプを成功させた。「大変だとはわかっていても、それが面白いと思えるのなら、やるしかない。今回、初稿の脚本で、探偵がジャンプして着地し、『やるな、あいつ』というセリフが入っていたんです。それを読んで、笑っちゃって。でも、次の準備稿では、そのシーンがカットされていて。その時、俺は自分の首を締めるのに、『これは飛んだ方が面白いんじゃない?』と言ってしまう (笑)。役者の定めですね。すると監督が『良いんですか?そう言っていただけるとありがたい』となり、元に戻ったわけです」。
カメラが回ると、自分自身の限界を超えられるという大泉。「絶対に大変だとわかっていても、撮影ではできるんです。たぶん、自分の体は限界だと思っていても、カメラが回れば、演技に集中するので、体のリミットが取れてしまうんだと思う。たとえば走るのも、映画の中で走る方が速く走れるんじゃないかな。僕はゴルフ好きですが、ゴルフって球を飛ばそうと思うと、なかなかうまくいかないんです。でも、違うことに意識を集中すると、体が硬くならずに良いスイングができる。映画にもそういうところがある気がします。役を演じることで、普段とは違う状態になれる。カットがかかった瞬間は、ものすごいダメージがあるんですが(苦笑)。役者ってみんなそうなんじゃないかなと」。
実際、ここまでやるか!?と思えるような、アクションが連打される『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』。大泉洋の男気と、絶大なる北海道への愛が感じられる続編となった。【取材・文/山崎伸子】