イ・ビョンホン、ハリウッドでの葛藤とプレッシャーを乗り越える秘訣を語る!

インタビュー

イ・ビョンホン、ハリウッドでの葛藤とプレッシャーを乗り越える秘訣を語る!

イ・ビョンホンは、今や世界を股にかけて活躍するトップスターとなった。全世界で興収3億ドル超えのメガヒットとなったハリウッド進出作の第2弾『G.I.ジョー バック2リベンジ』(6月8日公開)では、筋骨隆々の体で、怒りと悲しみの感情を爆発させたアクションを見せつけている。来日したイ・ビョンホンにインタビューし、ハリウッドというアウェイでの苦労話や撮影秘話について聞いた。

本作では、国際機密部隊G.I.ジョーと悪の組織コブラとの熾烈な戦いが繰り広げられる。イ・ビョンホンは、コブラの冷酷な暗殺者ストームシャドー役を続投している。ストームシャドーといえば、スタイリッシュな白のレザースーツとマスクがとてもクールだが、イ・ビョンホンは「マスクで呼吸を遮られるから、苦労したよ」と告白。「スネークアイズは、さらに視野まで遮られるし、マスクも分厚いから、もっと大変だと思う。もちろん、衣装デザイナーの方は、見た目も実用性も良い衣装を作ってくれるけど、レザーだから軽いと言っても限界がある。アクションでは肩に武器などを背負うからさらに重くなり、ジャンプや素早いキックをする時はすごく大変だった。だからこそ、トレーニングをして、鍛えておく必要があったよ」。

今回は、ストームシャドーと宿敵であるG.I.ジョーのスネークアイズとの因縁の過去が明かされる。彼は壮絶な裏切りを受け、怒りに身を震わせていく。「ストームシャドーは表向きはすごくクールに見えるけど、その裏には悲しいビハインドストーリーがある。彼はある罠にはめられ、裏切り者呼ばわりをされる。そういう子供時代を過ごし、一緒に教育を受けた友達にさえ信じてもらえなかったから、孤独に生きていくしかなかった。だから、彼はシニカルにならざるを得なかったし、そういう怒りを演技に投影したんだ」。

続編のため二度目の現場となったが、アウェイとも言うべきハリウッドでは、いろんな葛藤を感じるという。「僕は、韓国で20年くらい俳優としてやってきたけど、あまり台本に頼らず、水の流れに身を任せるような感じで演技をしてきた。でも、ハリウッドではまだそれができなくて。今回、ブルース・ウィリスの演技を見た時、まるで実生活で話しているように自然体な感じで、すごく勉強になった。かたや自分は、英語のセリフを丸暗記しなければいけないし、英語のアクセントやイントネーションに気を遣いすぎて、演技に集中できないことが多かった。もちろん、ブルースはアメリカ人だけど、自分よりもずっと先を行っているような感じがした。僕も早くアメリカの情緒や文化に慣れ、言語も習得し、あんなふうにセリフを操れるようになりたいよ」。

いや、今回のストームシャドーは十分に存在感があった。イ・ビョンホンといえば、韓国四天王としてスター街道を闊歩してきて、隙を感じさせないほどの大スターである。それゆえに感じる孤独感はないのか?と尋ねてみると、しばし沈黙の後、こう答えてくれた。「僕のような仕事は、心理的にも落ち込んでしまったり、殻に閉じこもってしまいがちだ。だから、ある時から、どんな状況でも楽しもうと思うようになった。それは無意識の内で、恐らく自己防衛の手段だね。プレッシャーや責任感を感じた時、自分を客観的に振り返るんだ」。

仕事を始めた当初は、そう思えなかったともいう。「最初の頃や、周りの知人に会う度に、『良い仕事してるね。外国へ行けるし、綺麗な女優さんにも会える。しかも、自分が出ている映画を、お客さんが楽しんでくれるなんて羨ましい』と言われて。その時は『こんなに辛いし、大変な仕事なのに、どうせ言ってもわかってもらえないよね』と、ため息ばかりついていた。でも今は、誰かに『良い仕事だね!』と言われたら、『そうでしょ。今、とても良い状況にあるよ』と、言えるようになった。一種のマインドコントロールかな。それが全て上手くいけば、まさに神の境地に達するくらいだから、さすがにそこまではいけないけど、努力をすれば、それに近付けるかなとは思っているよ」。

演じた役柄はストームシャドーだが、まさに彼はいろんなストームを乗り越えて、ますますビッグになり続ける、選ばれしスターだ。『G.I.ジョー バック2リベンジ』では、前作にも増して、彼の独壇場的なアクションシーンがあるので、乞うご期待!【取材・文/山崎伸子】

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