真木よう子、モスクワ映画祭の受賞を大喜び「おごるなよと言い聞かせつつ自信をもらった!」
真木よう子主演映画『さよなら渓谷』(公開中)が、第35回モスクワ映画祭のコンペティション部門で見事、審査員特別賞を受賞。モスクワに渡航していた真木よう子、大西信満、大森立嗣監督が7月2日に帰国し、受賞会見に登壇した。真木は「モスクワで賞を受賞したことは、ありきたりの嬉しいとかの言葉では言い表せられないほどの気持ちです。だからこそ、今後もより一層気を引き締めていけると確信しています」と力強く語った。
モスクワ映画祭は、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと並ぶ世界四大映画祭のひとつで、審査員特別賞は最優秀作品賞に次ぐ賞となり、日本映画では羽仁進監督『手をつなぐ子ら』(64)以来、48年ぶりの快挙となった。受賞した直後、真木は母親に一報を知らせたと言う。「ずっと応援してくれてたので、泣きながら喜んでくれて。すごく嬉しかったです」。大森監督は、本作にも出演している弟・大森南朋に連絡したそうだが、「寝てたみたいで、数時間立ってから、やったねと来て」と苦笑い。
真木よう子は、是枝裕和監督作『そして父になる』(9月28日公開)で第66回カンヌ映画祭へも趣いたが、本作も同映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞した。「カンヌが初めての映画祭でしたが、そこでも賞をいただきました。でも、これは当たり前のことではない、おごるなよと自分に言い聞かせつつ、光栄なことだし、名誉のあること。自分がこれから仕事をしていく上での自信はもらいました」と手応えを口にした。また、企画段階から本作に参加した大西も「シリアスな話をやるのが難しい状況のなかで、製作サイドの思いを背負いながらやってきて、モスクワで賞をいただいてほっとしています。本当に、雑念がなく、映画にとって純粋な現場でした」と、あふれる思いを語った。
最後に真木は「(受賞は)誇らしいことですし、これはもう自慢して良いと思うので、みなさん、見なければ損です!是非、劇場へ足を運んでください」と満面の笑みでアピールした。『さよなら渓谷』は「悪人」の吉田修一の同名小説の映画化で、ある残酷な事件の被害者と加害者の複雑な思いが絡み合う濃厚な人間ドラマだ。真木は『ベロニカは死ぬことにした』(06)以来、7年ぶりに単独主演を務めた。【取材・文/山崎伸子】