トミー・リー・ジョーンズ、片岡孝太郎に「もっと映画に出て!」

インタビュー

トミー・リー・ジョーンズ、片岡孝太郎に「もっと映画に出て!」

『メン・イン・ブラック』シリーズやコーヒーのCMでお茶の間でも人気のアカデミー賞俳優トミー・リー・ジョーンズが、『終戦のエンペラー』(7月27日公開)のキャンペーンで来日。本作で、ダグラス・マッカーサー元帥役を好演したトミーにインタビューし、役作りから、昭和天皇役の片岡孝太郎との共演エピソードまで、あらゆる話を聞いた。

『終戦のエンペラー』の舞台は、太平洋戦争直後の日本。GHQのボナー・フェラーズ准将は、マッカーサー元帥の特命により、戦争の真の責任者を追求していく。主人公フェラーズ役に海外ドラマ「LOST」のマシュー・フォックス、その恋人役に初音映莉子。そのほか、日本からは西田敏行、中村雅俊、夏八木勲、桃井かおり、伊武雅刀、片岡孝太郎ら豪華キャストが参加し、『真珠の耳飾りの少女』(04)のピーター・ウェーバー監督がメガホンを取った。

マッカーサー役について「以前から知っていたし、尊敬もしていたが、本作の役作りのためにさまざまな文献を読んだら、彼の人生そのものにもっと理解を深めることができた。彼がアメリカと日本の間でいかに貢献したのか、また、彼は本当の意味で英雄だったのだと、さらに尊敬の念が深まったよ」と語った。

トミーが演じるマッカーサーは、敗戦国での振る舞いにナーバスになったり、ユーモラスな表情を見せたりと、とても人間味にあふれるキャラクターだ。「マッカーサーとしては、たとえアメリカが日本を統治するという立場であっても、民主主義という考えをもち、日本に対して我々は決して脅威ではないということをわかってほしいと思ったんだ。『そういう時代は、もう終わったんだ』と伝えたかったんだよ」。

昭和天皇にマッカーサーが謁見した時の写真は史実として残っていて、映画でもクライマックスの重要なシーンとなる。天皇役は歌舞伎界で活躍する片岡孝太郎だ。トミーは孝太郎の演技について「すばらしかった」と賛辞を贈る。「彼はきっとすばらしい演技の訓練を受けた方だろうね。普段は歌舞伎という舞台で演じられているから、おそらく映画などほかの分野の作品で演技をすることも、そんなに難しいことではないんじゃないかという印象を受けた。お父さん(片岡仁左衛門)のお許しが出れば、もっと映画に出ていただきたい」。

さらに、彼は本作を通して、日米の両国間の関係性についてもいろんな思いを馳せたと言う。「戦争で日本が原爆だけではなく、様々な爆撃を受け、本当に酷い目に遭い、終戦後も大変な思いをしたことは知っていたけど、その後、日本がどんなふうにいまの民主的な資本主義の国に構築されていったのかは、自分がマッカーサーを演じるまでは知らなかった。劇中のようなロマンスが、本当にあったかどうかはわからないけど、アメリカと日本の二国間での友好関係は終戦後ずっと続いてきたし、いまでもつながっている。それはとても良いことだ」。

さすがはハーバード大学卒の秀才だけあり、質問には端的にテキパキと答えてくれたトミー・リー・ジョーンズ。俳優としてキャリアはもちろん、『The Homesman』という自身も出演した監督最新作も今年の春に撮り終えたばかりだと言う。『終戦のエンペラー』では、トミーやマシューと、日本人キャストが織りなす重厚なドラマをたっぷりと堪能したい。【取材・文/山崎伸子】

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