喜びの声をブログに連続更新!市川海老蔵、海外での高評価に感無量
歌舞伎俳優の市川海老蔵が千利休を演じた時代劇『利休にたずねよ』(12月7日公開)が、カナダで行われていた第37回モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞した。これを受けて、歌舞伎座で「九月花形歌舞伎」を公演中の市川が、9月3日に急遽会見を行った。
今回の受賞について、市川は「日本の芸術や美しさを海外で再評価されたことは、非常に嬉しい。僕は千利休という人物を演じたに過ぎません。すべては監督やスタッフのおかげです」と、ストレートな感謝の言葉と共に、改めてその受賞を報告。また、利休の師・武野紹鷗役で父・市川團十郎が特別出演をしているが、その亡き父との共演に対しては、「体調があまり良くないなか、撮影現場に来てくれたり……父と共演できたことが思い出ですし、それが海外の方に評価してもらえて、本当に嬉しいです。きっと、父が生きていたら喜んでいると思います」と、熱いコメントを寄せた。
現地時間の9月2日に閉幕したモントリオール世界映画祭では、1日に公式上映を迎えていた本作。上映後、会場に集まった約1000人のスタンディング・オベーションが沸き起こるなど、カナダの観客から高い評価を得た。残念ながら映画祭に参加出来なかった市川は、この結果の行方を日本から見守っていたという。9月3日の朝方のブログでは「日本にしかない繊細な感性、わびさびなぞは、なかなか理解されづらいとは思いますが、かすかな希望をもちながら理解していただけると信じています」とその心中を明かしており、受賞の一報が入ると「日本の美が世界共有であると言う事ですね」と更新していた。また会見前にはお茶を一服たてている写真もアップされているが、会見でも「日本の所作、美しさ、そして、茶器に至るまで本物が詰まっている作品です。その本物をぜひ見ていただきたい。僕、嘘はつけないタイプなので、信じてください」と、本作の魅力を強くアピールしていた。
また、映画祭に参加した利休の妻・宗恩を演じた中谷美紀は「セリフが極端に少ないので、行間に込めた思いをどのように汲み取っていただけるかと思っていましたが、沈黙の中に心のひだが幾重にも折り重なっているのを感じていただけたのではないでしょうか」とコメント。また、撮影中の田中光敏監督と市川を「最後に至るまで、美に対して、芸術に対して追い求めていらっしゃいました」と振り返った。田中監督は受賞について「こういう賞をいただけると思っていなかったので本当にびっくりしました。ストーリーの持っている美しさを海外の方にも評価していただけたと思います」と、率直な感想を語った。
本作は、第140回直木賞を受賞した山本兼一の同名小説を映画化したラブストーリー。千利休の秘められた恋や、徹底した美へのこだわりぶりが描かれる。1990年の『式部物語』以来、23年ぶりに日本映画で同賞を獲得した『利休にたずねよ』。海外に認められた日本文化や美意識を、本作から体感してほしい。【取材・文/トライワークス】