『グランド・イリュージョン』のルイ・レテリエ監督、名優たちに演出をつける優越感に浸る!?
4人組の天才イリュージョニストと、彼らを追うFBIとのめまぐるしい攻防を描いた『グランド・イリュージョン』(10月25日公開)。『ソーシャル・ネットワーク』(11)で一躍ブレイクを果たしたジェシー・アイゼンバーグからアカデミー賞2度受賞の名優マイケル・ケインまで、新旧豪華スターが顔を揃えた本作のメガホンを握ったのが、『タイタンの戦い』(10)のフランス人監督、ルイ・レテリエ。これまでとはテイストの違う作品に挑んだのはどうしてだったのか話を聞いた。
「いままではアクション色の強い作品が多かったと思うけど、違ったテイストのものもやってみたかったんだ。ボアズ・イェーキンが手掛けた脚本は、誰がメインを張るという訳ではなく、複数のキャラクターがそれぞれ物語に大きな影響を与えているようなバランスの取れたもので、さらに劇中のアクションがそれぞれのキャラクターを際立たせるような役割をしているのもよかったね」と本作の脚本にベタ惚れだった模様。
前述したように、本作はハリウッドを代表するような名優たちの共演が見どころだが、撮影現場の雰囲気はどうだったのだろう? 「みんな仲良くて、学生同士がワイワイやっているような雰囲気だったね。撮影をこなしていくうちにそれぞれがマジックの腕を上達させて披露しあってたりして。そんな彼らを見守る教授みたいな立場だったよ。そんな中で、モーガン・フリーマンやマイケル・ケインに演出をつけているという優越感に浸るところもあったね(笑)」
4人のイリュージョニストたちがマジックを披露し、その後にそのトリックのタネを明かしていくというのが本作の見どころでもある。「トリックのタネ明かしをするのも、実はミスディレクションなんだ。マジシャンが観客の目先を変えてうまく騙し通すみたいな効果が出たと思うし、いつのまにか、本当に追わなければいけないストーリーラインが見えなくなってしまうはずだよ」
ルイ・レテリエ監督といえば、リュック・ベッソン監督のアシスタントを務めてきたこともあり、カーアクションなどを得意としているが、実は…。「カーチェイスシーンは第2班監督のジョージ・アギラに任せっきりだったんだ。で、映像を見てみたら素晴らしかったから、予定より多めに盛り込んだんだよ」と、意外な事実も披露してくれた。
「エンタテインメント性に優れているから家族向けとしても楽しめるし、イリュージョニストたちのテクニックや彼らを巡る人間ドラマに注目して見る事もできるから、幅広い世代の人に楽しんでもらえると思うよ」と監督が語るように、この秋最高のエンタテインメント作と言えるだろう。【取材・文/トライワークス】