レオやブラピを引き立てる名脇役、ジョナ・ヒル。その素顔は?
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(公開中)で、レオナルド・ディカプリオやマーティン・スコセッシ監督と共に、本年度アカデミー賞にノミネートされたジョナ・ヒル。ブラッド・ピット主演の『マネーボール』(11)で第84回アカデミー賞の助演男優賞候補となったことも記憶新しいジョナだが、本作でも愛嬌たっぷりの名脇役を務めている。来日したジョナ・ヒルに単独インタビューし、本作の裏話を聞いた。
レオが演じた主人公ジョーダン・ベルフォートは、20代で証券会社を設立し、預金ゼロから億万長者となった、実在の株式ブローカーだ。映画では、彼の栄光から破滅に至るまでの狡猾で大胆不敵な仕事ぶりから、ハチャメチャに豪遊した私生活までを描く。ジョナは、ジョーダンの会社のビジネスパートナーのドニー役。二枚目でイケてるレオと、ふっくら体型で味のあるジョナの凸凹コンビが最高だ。それは『マネーボール』でのブラッドとのパートナーシップでも感じた、実に面白い化学反応である。
アカデミー賞にノミネートされた感想についてジョナは「レオやスコセッシ監督と一緒に仕事ができたことだけでもうれしいのに、その上、演技が評価されたなんて、光栄な気持ちでいっぱいだよ」と大喜びだ。元々、レオとは顔見知りで、スコセッシ監督の大ファンでもあったのだから、その思いもひとしおである。「レオとは、共演者という間柄だけに留まらず、より仲良い友人関係が築けたから、本当に良かった。また、スコセッシは僕の最も大好きな監督で、僕のヒーローだった。現場で一緒にいられるだけでも感激したし、実際にいろんなことを学べたよ」。
ジョーダン役については「本当に心からやりたかった役で、監督ともすごく話し合った。ドニーは自分の衝動を全く抑えられない人。お金を稼ぐことが、すべての道徳的な価値感より勝ってしまうダメな男だね。個人的には、彼の良いところを探そうと思ったのだけど、やっぱり彼は軽蔑すべき人だという結論に至った。でも、見ていて面白いよね」。
レオについては「ものすごく演技が上手い人」だと手放しで絶賛。「彼が演じたベルフォートは実際ひどい人だが、彼を見ていると、一瞬酷い人だってことを忘れてしまう。まるでカルトリーダーのような雰囲気があった。どんな人だって、彼ならおそらく説得して、何でもやらせることができるんじゃないかな。そういう力を持った人だと思う。つまり人間としての魅力はすごくある人なんだ」。
ジョーダンの経営者としてのカリスマ性に満ちたリーダーシップは映画を見ていてもほれぼれするし、社員が彼の信者のようになっていくのもうなずける。もちろん、それはレオの持って生まれたスター性も大きいが、本作においては、かなり濃いキャラクターであるドニーとの対比が、よりジョーダンを輝かせたと言っても過言ではない。レオ、ジョナ・ヒルらのキャストと、スコセッシ監督の才能が余すことなく発揮された『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。ハリウッド映画の醍醐味を改めて実感できる快作である。【取材・文/山崎伸子】