あの美人アカデミー賞女優が、まさかの強烈なブス女に!

映画ニュース

あの美人アカデミー賞女優が、まさかの強烈なブス女に!

アカデミー賞女優のクールビューティー、ティルダ・スウィントンが、『殺人の追憶』(03)や『グエムル 漢江の怪物』(06)の鬼才ポン・ジュノの監督最新作『スノーピアサー』(2月7日公開)で、強烈なキャラクターのブス女役にトライ!メガネに歯並びの悪い口元、色気ゼロのキャラクターは、『ナルニア国物語』シリーズの美しい白の魔女役を演じたティルダと同一人物だとは思えない!来日したポン・ジュノ監督に、彼女のキャスティング秘話について話を聞いた。

本作は、ジャン・マルク・ロシェットのグラフィックノベルを映画化したSF超大作だ。舞台は、温暖化の実験が失敗し、氷河期を迎えた近未来の地球。人類が唯一生存できる手段は、永久不滅のエンジンを搭載し、1年かけて地球を一周する列車“スノーピアサー”での生活だった。

改めて確認しておくが、ティルダは、ケンブリッジ大学卒、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演劇を学んだ、知性派の女優だ。ジョージ・クルーニーと共演した『フィクサー』(07)では、アカデミー賞助演女優賞と英国アカデミー賞助演女優賞を受賞した、いわば世間の誰もが認める才色兼備の演技派女優なのだ。なので、今回のすっ飛んだキャラクターとのギャップには度肝を抜かれる。いや、違う。できる女だから、ここまで不細工でヘンテコな役柄に成り切れたのだ。

ティルダについては、脚本を書き上げる前からオファーをしていたというポン・ジュノ監督。「実は、僕は元々、ティルダのファンだったのですが、彼女が『グエムル~』が好きだとインタビューで言ってくれた記事を読んだことがあり、2011年のカンヌ国際映画祭で彼女に会った時、『一緒に仕事をしましょう』と約束をしたのです。ただ、『スノーピアサー』の脚本を書いている時、彼女に適した役がないことに気づきました。そこで、もともと中年男性の設定だったメイソン役を、男性から女性に性別を変えてオファーをしました」。

ティルダが演じたメイソンは、スノーピアサーの創造主ウィルフォード(エド・ハリス)の右腕の総理である。押しの強いナンバー2で、元々男性の設定だったことも納得がいく。「今思うと良い決断でした。あの役は彼女にしかできなかったと思います」とポン・ジュノ監督は胸を張る。「今回、彼女は、自分をガラリと変えたい、顔を全く違うものにしたいという希望がものすごく強かった。一度、撮影前に私と衣装担当の人とプロデューサーが、彼女の家に招待されたのです。そこで彼女はまるでショーのように、自分でコーディネートした姿を見せて、プレゼンをしてくれました。映画で準備した衣装や、古い昔のメガネ、差し歯、豚の鼻をつけたりして(笑)。非常に面白かったです」。

メイソンのキャラクターについては、ふたりでいろいろと話し合ったそうだ。「おそらく最初、メイソンは、あそこまでの地位に上り詰めていなかったはず。お金持ちの人たちの下働きをしていた、ルームメイドのような人物だったのではないかと。そういう彼女がたまたまウィルフォードの目に留まり、身分がどんどん上昇していった。きっと彼女自身も欲望の強い女性だったのではないかと。だから演説も大げさだし、ゴージャスなファーコートを着たり、勲章をあちこちにつけたりしているんです」。

研ぎ澄まされた演技を見せる『キャプテン・アメリカ』シリーズのクリス・エヴァンスをはじめ、名優たちの熱演が冴える『スノーピアサー』。ポン・ジュノ監督が引き出した、これまで見たことのないティルダ・スウィントンも脇で光っているので、お見逃しなく!【取材・文/山崎伸子】

作品情報へ

関連作品

  • スノーピアサー

    3.2
    157
    氷河期が到来した地球を舞台に、唯一人間が生存できる列車で暮らす人々を描く
    Prime Video U-NEXT Hulu