衝撃!B・カンバーバッチの先祖は奴隷のオーナーだった
アカデミー賞作品賞最有力候補作と言われるスティーヴ・マックイーン監督作『それでも夜は明ける』(3月7日公開)で、奴隷を買う大農園主のウィリアム・フォード役を演じたベネディクト・カンバーバッチの先祖は、なんと綿花農場のオーナーだったらしい。
カリブ海諸島のバルバドスには、1620年代からイギリスに統治され、その後1834年に奴隷制が廃止されるまで奴隷が働き続けてきたとされるサトウキビ農園Cleland Plantationがいまも存在している。現オーナーが妻子と共に住んでいるこの敷地に残されている約400年前の建物には、かつて250人の奴隷たちが暮らし、過酷な労働の末に亡くなっていった場所だそうだが、そこを統治していたのはベネディクトの先祖であるカンバーバッチ家だったという。
「1690年代に、ベネディクトの8代曾祖父にあたるジョシュア・カンバーバッチがイギリスからこの地を訪れました。そして1728年にベネディクトの7代曾祖父にあたるアブラハム・カンバーバッチが農園を買い取り、この後は1834年に奴隷制が廃止されるまで、カンバーバッチ家が農園主としてこの土地を支配していました」
「奴隷制が廃止されるまでの約200年の間に、61万人の奴隷がこの島に連れてこられたと聞いていますが、ベネディクト家は映画さながらの実に残酷なやり方で富を築いてきたんです。また、ローレンス・トレント・カンバーバッチは奴隷に子どもを産ませていたんです」とデイリー・メール紙に語っている。
ベネディクトは、女優である母親から、この暗い過去を自ら暴くことになるためカンバーバッチという名前を芸名として使用しないようにアドバイスされていたことも明かしているが、あえてカンバーバッチを名乗っている。
そして18世紀後半のイギリス帝国で奴隷貿易の廃止に努めたウィリアム・ウィルバーフォースの伝記映画『アメイジング・グレイス』(06)で、ウィルバーフォースの親友で若くして首相になったウィリアム・ピットを演じたことについて、当時は「自分の先祖がしたことの謝罪の意がある」と語っていたが、『それでも夜は明ける』でベネディクトが演じたのは、主役のキウェテル・イジョフォー扮するソロモンの才能を見出した、比較的寛容な人物ではあるものの、先祖と同じ奴隷のオーナーだ。
「どんな罪滅ぼしになるのか。カンバーバッチ家の残虐な統治の歴史だけでも書物になるに値する」とまで言われており、ベネディクトの選択が、先祖による古傷にあえて塩を塗る結果になったようだ。【NY在住/JUNKO】