映画を見ずに『それでも夜は明ける』に投票していたアカデミー会員がいた?
アカデミー賞の選考を行っている映画芸術科学アカデミーの会員たちは、映画を見ていないのに『それでも夜は明ける』(公開中)を作品賞に選んだのではないかという記事を米国版ハフィントンポストが掲載している。
同記事によれば、オスカー受賞式の前、アカデミー会員たちは『それでも夜は明ける』をあまり見ていないようだという噂があったそうで、それを裏づけするような記事がロサンゼルス・タイムズに掲載されていたという。
「2人のアカデミー会員が、『それでも夜は明ける』は気が滅入りそうなので見たくないと認めたが、それでも同作に投票するつもりだと言った。作品が持つ社会的な意味を考えると、投票しなければいけないような気がするらしい」と同記事には書かれている。
実際、オスカー受賞式でも司会のエレン・デジェネレスが「可能性その1。作品賞は『それでも夜は明ける』でしょう。可能性その2。あなたたちはみんなレイシストです」というジョークをとばし、『それでも夜は明ける』に投票しないアカデミー会員はレイシストと見なされるようなムードがあることを風刺していた。ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、同作のスティーヴ・マックイーン監督は、「ハリウッドは奴隷制度の映画を作るよりも、ホロコーストの映画を作っているほうが気楽なようだ」と受賞式シーズンに頻繁に語っていたという。
アカデミー賞キャンペーンの専門家は、「レイシズム問題を扱った映画に社会的な見地から投票するのは、昔から変わらないアカデミーの体質だ」とロサンゼルス・タイムズに話している。【UK在住/ブレイディみかこ】
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