押井守総監督、「パトレイバー」実写プロジェクトに「悪口を言うためでもいいから見てほしい」と押井節炸裂
アニメ史に残る大ヒットを記録した「機動警察パトレイバー」シリーズを、完全オリジナル新作として描く実写版プロジェクト『THE NEXT GENERATION パトレイバー』が始動。3月17日にはアーバンドックららぽーと豊洲で、実物大イングラム(レイバー)が寝ている状態から立ち上がる“デッキアップイベント”が開催され、押井守総監督、真野恵里菜、筧利夫が出席。全長約8mものレイバーが立ち上がると、押井監督は「やっぱりパトレイバーは湾岸に立っている時が一番、絵になる」と満足気な笑顔。「ちゃんと仕事しました」と完成作への手応えも語ってくれた。
「機動警察パトレイバー」は、“レイバー”と呼ばれる作業用ロボットが普及した東京を舞台に、レイバー犯罪に立ち向かう警視庁特科車両二課中隊(特車二課)の活躍を描く人気アニメだ。今回の実写プロジェクトでは、アニメ版のその後の世代の物語が展開。シリーズ全7章として構成され、4月5日(土)より全国にて『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』のイベント上映が開始、2015年GWには、長編劇場版として全国拡大公開される。
ヒロインとなる泉野明役を演じた真野は「明を演じる上で、葛藤や戸惑いもあった」と、撮影が始まるまでの不安な気持ちを吐露。「撮影が進むにつれて、明やレイバーが大好きになって、特車二課にいつまでもいたいと思った。今は達成感でいっぱいです」と清々しい笑顔を見せた。押井監督は、「これだけ長くやってきたシリーズを実写化するのは、相当叩かれると思った」と口火を切り、「映画が公開されれば、『(明役は)真野恵里菜じゃなければダメだった』と思ってもらえると思う」とキャスティングにも大満足の様子だ。
また、撮影中に印象に残っているシーンを聞かれると、押井監督は「レイバーが初めてデッキアップする時は、『立つのか、倒れたらどうしよう』と不安でいっぱいだった」と述懐。それだけにレイバーが立ち上がった姿を見た時は、「感無量でした。やっとこれが立った。これが見たかったんだ。このために苦労して準備したんだと思った」と大きな喜びを感じたという。しかし、「それでも3日で飽きた。でも飽きちゃうことが大事で。そこにあって当たり前にならないといけない」と押井節を炸裂させていた。
筧も「パトレイバーのファンの方も、『これが実写で見たかった』と思ってもらえるカットが第1章からある」と完成作に胸を張る。最後には、押井監督が「自分で言うのもなんですが、かなり面白いと思います。現場にいた全員が面白がって仕事をしていたので、これは必ず良い作品になると確信しました」と力強い言葉。「それでも、実写化なんかするなという人はいると思う。悪口を言うためでもなんでも良いから見てもらって、見終わった時に『なかなか良いじゃん』となれば良かったと思う。全員でハッピーになるというのが、特車二課のテーマなので、そうなれば良いなと思う」と、熱を込めていた。【取材・文/成田おり枝】