妻夫木聡が池松壮亮を尊敬!「正直に生きているから敵わない」

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妻夫木聡が池松壮亮を尊敬!「正直に生きているから敵わない」

妻夫木聡と池松壮亮。世代は違えど、人気と実力を兼ね備えた、いまや日本映画界を担う若手スターだ。彼らが、『舟を編む』(13)で名実共に実力派監督の称号を得た石井裕也監督作『ぼくたちの家族』(5月24日公開)で共演。本作で妻夫木は真面目なサラリーマンの長男・浩介役、池松はマイペースな大学生の次男・俊平役を演じたが、そのハマり具合がハンパない!見る者をぐいぐいと引っ張るような、説得力がある。2人にインタビューし、初の石井組について話を聞いた。

オファーをもらって、とにかく喜んだという2人。妻夫木は「石井さんとはずっとやりたかったけど、こんなに早くオファーをいただけるとは思っていなかったです。壮亮も、一番やりたかった役者だったし、僕にとってはやりたいと思った人との巡り合わせでした」とうれしそうに話す。池松も「石井さんとは元々知り合いで、ずっと一緒にやりたいと思っていました。また、妻さん(妻夫木聡)が兄貴ってところで、逃げ場がないというか、やるしかないなという感じでした」。

妻夫木は石井監督について「確実に(才能が)抜けている人。本当に一緒に死んでくれる覚悟をもってくれている。そこまでの人ってなかなかいない」と力を込めて言う。「石井さんは誰よりも作品を愛しているし、役者の芝居に重きを置いてくれる。現場に入る前から自分の頭のなかで構築し、僕たちに種をいっぱいまいてくれる。どんな努力でもするし、いくらでも付き合ってくれるという姿勢が良いなあと」。池松も「現場を信じている人だし、現場で生まれたものが何より一番の人。僕は一番信じられる監督です」と、賛辞を惜しまない。

『ぼくたちの家族』は、早見和真の同名小説の映画化作品。突然、脳腫瘍で余命1週間と告げられた母を巡り、父や息子たちが葛藤していく。興味深いのは、2人の素顔がどちらかというと役柄とは真逆な部分だ。内向的な長男役の妻夫木聡は「実際、僕は次男坊で、根っからの甘えん坊なんです。できれば甘えて生きていきたいし、いろんなことも決めてほしい。実は思い切り俊平なんです。でも、真逆の役だったからこそ、やりがいを感じました。浩介に感情移入するというよりは、とりあえず自分を捨てる、削いでいく、そこに徹しました」。

気ままな弟役の池松は「僕自身、兄貴はいなくて、弟とも年が離れているんです。向こうは末っ子でまだ高2だし、僕は弟が小さい頃、すでに上京していますから、ちょっと状況は違う。でも、台本の内容はすべて腑に落ちました。そういうことってあまりないんです。通常、腑に落とすためにどうするかってことをやっていくのですが、今回はそれがなかったです」と、脚本の素晴らしさを強調。

妻夫木と池松に、共演した感想についても聞いてみた。妻夫木は「常にナチュラルなんです。自分に正直に生きている人間なので。普通はなかなか正直に生きられないし、どうしても嘘をついてしまう。僕はずっと好かれたくて生きてきたけど、壮亮はそうじゃない。そこは本当に敵わないし、尊敬するところでもあります。そういう点は、お芝居にも出るんです。結局、役者って生きていること自体が役作りになっちゃうから。日頃からそういうふうに生きている人は、お芝居も素晴らしいものになるんです」。

池松は「常に現場で、すべてを背負い込んでいる妻さんを見ていました」と穏やかな目線を落とす。「ああ、寝れてないんだろうなという姿をずっとね。本当に、ここまで作品にかけられる人は初めて見ました。いやあ、すげえなと。死んじゃうんじゃないかと心配しましたから」。妻夫木は池松について「ある程度、落ち着いて、ファミレスで俊平と話すシーンがありましたが、そこはすごくほっとしました。こいつが弟で良かったと思えるシーンでした」と言葉をかみしめた。

妻夫木聡と池松壮亮らが演じた、ある家族の風景。早見和真が実体験を基にした物語なので、家族が、突然起こった緊急事態に困惑したり苦悩したりする様が、とてもリアルにつむがれている。それらを繊細に体現した妻夫木聡や池松壮亮らキャスト陣と、石井裕也監督による丁寧な人間ドラマをじっくりと味わってほしい。【取材・文/山崎伸子】

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