妻夫木聡、池松壮亮から「色っぽい」と絶賛される理由とは?

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妻夫木聡、池松壮亮から「色っぽい」と絶賛される理由とは?

『舟を編む』(13)で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞ほか、最多6冠を受賞、若手実力派監督というカテゴリーを飛び超えて、日本映画を牽引する監督のひとりとなった石井裕也監督。最新監督作『ぼくたちの家族』(5月24日公開)は、妻夫木聡、池松壮亮らを迎えた、家族の物語だ。石井組に初参加した妻夫木と池松にインタビューし、初めてがっつりと共演した感想について話を聞いた。

原作は、早見和真が自身の体験を基にして描いた同名小説。突然、脳腫瘍で余命1週間と告げられた母を巡り、父や息子たちが葛藤していく。妻夫木は真面目なサラリーマンの長男・浩介役、池松はマイペースな大学生の次男・俊平役を演じた。

妻夫木は、池松と共演した感想をこう語った。「壮亮は、これまで抱いていたイメージ通りの人間でした。作品のために死んでくれる役者であると思うし。一緒にいてすごく居心地が良いというか、ほっとする存在ではありますね」。池松は、妻夫木のことを“妻さん”と呼ぶ。「妻さんが良いんです。石井さんの言葉を借りると『悩んでいる男の姿が一番色っぽい』と、僕も思いました」。

妻夫木は首を横に振りながら「わかんないですよ。色気とかって。僕にはたぶん一生、色気ってものは存在しないと思っていますから」と否定。池松は「いやいや。そこは僕が弟として言わせてもらいます」と、妻夫木を制する。「“色っぽい”って言葉は、いろんな言い方があると思います。僕は、一般的な“色っぽい”はまったく信じてないです。だから何?と思うだけで、そこに魅力は感じない。でも、今回の妻さんは、やっぱり良いなと思いました」。そう言われても、妻夫木はまだ首を傾げるだけだ。

本作では、母親役を原田美枝子が、父親役を長塚京三が演じている。母の余命を聞き、狼狽する男3人の姿が印象的だ。なかでも、オロオロする父親が、長男にひたすら頼る姿が情けない。現場では、役柄の設定上、長塚とは距離を置いていたという2人。妻夫木は「撮影中は、本当に話をしなかったです。まあ、長塚さんは、気遣いが多く、本当に優しい方なので、わかってくれていたとは思いますが」と苦笑い。「終わってから、いろいろと話しました。その時、奥さんに『じゃあ、今度、軽井沢の別荘においでよ』と言われて。ああ、僕、いま、急に距離を詰めようとしているなって思いました(苦笑)。本当に申し訳なかったです」。

池松も「僕も目すら合わさなかったです。妻さんは、たまに話すくらいでしたが、僕はひと言も話さなかったし」と言うと、妻夫木が「お前の方がひどいじゃないか」と笑いながら突っ込む。池松は「でも、それぞれがそうやって役割に徹した結果、そうなっていたのかなって」と手応えを語る。「長塚さんも敢えてそうしてくださったし、僕はそのことにすごく助けられました。いわば、妻さんから弟にしてもらって、長塚さんから息子にしてもらったみたいなことでした」。

最後に、2人からメッセージをもらった。まずは妻夫木から。「いろんな家族の形ってあると思うんです。この映画を見て自分にとっての家族って何だろうなと考えてほしいし、それ以上に自分の家族に何ができるんだろうと、ちょっとでも考えてもらえたらうれしいです。全く答えは出ないと思うけど、その答えをずっと探していくのがたぶん家族としての在り方だと思うから」。

池松は「見て下さいとしか言いようがないんですが」と前置きをした後「勝手な思いとしては、半径の狭い家族ってものだけで映画を作って、これが広がることが何よりうれしいことです。あとはやっぱりこの映画の妻さんを見て下さい、石井さんの映画を見て下さいってことですね。言っちゃうけど、傑作です」と力強くアピール。

インタビューで見た2人の表情からは、石井組への思い入れの強さが十分うかがえた。妻夫木聡、池松壮亮にとっても、『ぼくたちの家族』は特別な作品になったようだが、その出来栄えは是非、スクリーンで確かめてほしい。【取材・文/山崎伸子】

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