宮崎駿の次にアニメ界を牽引するのは庵野秀明!鈴木敏夫プロデューサーが明言
「エヴァンゲリオン」シリーズなどで知られる映像作家・庵野秀明の作品を一挙上映する特集「庵野秀明の世界」の開催が決まった第27回東京国際映画祭。8月26日に六本木アカデミーヒルズで記者会見が開催され、庵野監督が登壇。特集の発案者でもあるスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも駆けつけて、「宮崎駿なき今、(アニメ界は)少なく見積もっても10年は彼が牽引していくと思う」と、庵野監督への絶大な信頼感を口にした。
庵野監督の大規模な特集上映は、史上初めてのこと。アニメに力を入れることを明言してきた東京国際映画祭ディレクター・ジェネラルの椎名保氏は「今一番ホットな監督」と庵野監督に最敬礼。「日本を代表するクリエイターの特集を来年以降もやっていきたい」と今後への意欲を語った。
クリエイターに注目した特集の第一弾として、鈴木プロデューサーが「宮崎駿なき今、庵野秀明しかいないと思った」と話すと、庵野監督は「大きく出ましたね」と照れ笑い。この日は、これまでに手がけてきたテレビアニメ、劇場公開作品に加え、学生時代に自主制作した短編、CM、PVなど、全編・抜粋上映を含む約50作品の全ラインナップが発表された。
改めて自身の作品を見直してみたという庵野監督は「結構、面白いもん作っているじゃんと思った。これは再発見です」とニヤリ顔。「どれも根っこは変わっていない」と感じるなど、原点を振り返るきっかけになった様子だが、そんな中「忘れがたい作品」として挙げたのが、「エヴァンゲリオン」シリーズだ。
終盤にかけて、難解とも思える展開を見せたテレビアニメシリーズも全話がスクリーンで上映されることとなるが、シリーズについて庵野監督は「おかしかったですね。やっぱり」と述懐。「最初はまともなロボットアニメだったのに、だんだんおかしくなってきた」と話すと、会場も大爆笑。「若かったですね。30代でないとあんなことしませんよ」と自己分析していた。
東京国際映画祭の会見とあって海外メディアも多く集ったが、庵野監督は「日本のアニメを海外の方にも見ていただく。その力添えになれれば」とコメント。今後の日本のアニメ界に必要なものを聞かれると、「経済的な援助が必要。それがあればもっと向上していく可能性がある」と訴えていた。
また、映画祭の魅力を伝えるフェスティバル・ナビゲーターに就任した岡本あずさ、ハリー杉山も出席。第27回東京国際映画祭は10月23日(木)から10月31日(金)まで開催される。【取材・文/成田おり枝】
期間:10月24日(金)から10月30日(木)
会場:TOHOシネマズ日本橋
自主制作8ミリフィルムペーパーアニメ『ことわざ事典 へたな鉄砲も数うちゃあたる!』(全編)から、原画マンとして参加したテレビアニメ「超時空要塞マクロス」(抜粋上映)、巨神兵の原画を担当した『風の谷のナウシカ』(抜粋上映)、アニメ監督デビューを果たしたOVA「トップをねらえ!」(全編)、初のテレビシリーズ監督を手がけた「ふしぎの海のナディア」(抜粋話数上映)、社会現象を巻き起こしたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(全話数)はもちろん、実写映画の初監督作『ラブ&ポップ』(98)など、学生時代に自主制作した短編、CM、PVなどを含む約50作品を上映する予定。