役所広司、黒澤組を受け継ぐ小泉組に感激「日本映画のなかでも新しい体験ができた」

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役所広司、黒澤組を受け継ぐ小泉組に感激「日本映画のなかでも新しい体験ができた」

葉室麟の第146回直木賞受賞小説を、『雨あがる』(00)の小泉堯史監督が映画化した時代劇『蜩ノ記』(10月4日公開)。本作の日本外国特派員協会の会見が9月18日に開催され、主演の役所広司、小泉監督、黒澤(明)組の記録を担当していた野上照代が登壇。外国人記者から「我々の目から見ても素晴らしい映画でした」と絶賛されると、小泉監督は「ありがとうございます」とうれしそうにお礼を述べた。

小泉監督は、黒澤明監督への思いについて熱く語った。「僕は、いまだに黒澤監督の助監督でいるつもり。だから、ここに先生がいればなと思っています。スタッフは共通してそう思っています。黒澤さんへの思いが、映画を作る上での大きな絆になっている。だから野上さんは大先輩。現場に顔を出してくださること自体、スタッフの喜びなんです」。野上は小泉監督について「よくやってる。きっと(黒澤監督が)100点くれると思いますよ」とねぎらうと、小泉監督は満面の笑顔を見せた。

役所は、日本映画と外国映画の現場の違いについて「カメラの前で役者が芝居するのは同じことだなと思いました」と言いながらも「ただ、アメリカの映画には準備にかける時間が長かった。それは重要なこと。今回、小泉監督の下で、黒澤明監督の映画の作り方を初めて体験しました。映画を作るのに、準備がどれだけ重要なことかということを、小泉監督が引き継いでいらして。僕も初めて参加して、日本映画のなかでも新しい体験をさせていただきました」と語った。

また、野上は「私は『羅生門』(50)からずっとスクリプター(記録)をやれて運が良かった。今見ても、どの作品も素晴らしい。当時、一緒に仕事をしていて、それがわからなかったのが残念」と語り、会場の笑いを取った。

『蜩ノ記』は、師弟愛、夫婦愛、家族愛、初めての恋など、幾層もの人間ドラマが丁寧に描かれた時代劇だ。役所広司は、ある事件で切腹を命じられ、幽閉されたまま藩の歴史「家譜」を手掛ける主人公・戸田秋谷役、岡田准一が秋谷の監視役を命じられた檀野庄三郎役に扮した。【取材・文/山崎伸子】

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