中井貴一、主演映画の愛について聞かれ「映画をまだ見てない」と阿部寛にキラーパス

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中井貴一、主演映画の愛について聞かれ「映画をまだ見てない」と阿部寛にキラーパス

中井貴一主演の時代劇『柘榴坂の仇討』の初日舞台挨拶が、9月20日に丸の内ピカデリー1で開催。中井、阿部寛、広末涼子、藤竜也、木崎ゆりあ、近江陽一郎、若松節朗監督が登壇した。中井は「育て上げた娘を嫁がせる感じです」と初日を迎えた感想を語り「日本人の心を何とか伝えられればと、スタッフやキャストと、精一杯、一生懸命やりました」と感無量の表情を見せた。

阿部も「こういう作品を待ち望んでいました。忘れてはならない武士の気持ち、マインドを見事に、人を描くというやり方で撮った。自分の作品なのに、試写室で涙しました」と、熱い気持ちを吐露。広末も「私も目をはらせて劇場を出ました。胸が熱くなりました」と言うと、藤も「すごく良い現場でした。中井さんの気迫と覚悟が、現場に座っているだけで感じられた。思わずもらい泣きするくらい、迫真のお芝居をされてました」と中井を称えた。

クロストークで、「本作で、一番、心に残った愛は?」という質問が出ると、封切りされてから出演作を見る主義だという中井は「まだ映画を見てませんので、先に阿部さん、お願いします」と、阿部にキラーパス。阿部は「またですか」と苦笑いしながら、「女性の気持ちを繊細にはっきり描いている」と、見どころを語った。広末は「セツの気持ちになって演じたけど、金吾(中井貴一)の主君に対する愛、その生き方だから、セツは文句も言わず、そばにいられたんだなと。『苦労をかけたな』というひとことを言われだけで、涙といかそういうレベルではない感情がこみ上げました」とコメント。

中井は「これは日本の理想的なかかあ天下の話」と解釈。「妻がいなかったら、金吾は、すぐに切腹して死んでいたでしょう。生きることを選んだのも妻のため。でも、『ありがとう』とか『おいしい』とか、妻に言いすぎてもダメ。当たり前になるので。たまに言うのが良いよね、阿部ちゃん」と、阿部に同意を求めると、阿部も大きくうなずいた。最後に、大ヒットを祈願し、鏡開きを行った。

『柘榴坂の仇討』は、浅田次郎氏が 2004 年に発表した短編集「五郎治殿御始末」に所収された一編の映画化作品。主君を失い、切腹することを許されずに、ただ仇討を続ける男と、その最後のひとりの男との運命的な出会いが、重厚に描かれる。【取材・文/山崎伸子】

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