安藤裕子の存在感に大泉洋も惚れ惚れ!映画出演への決意を明かす

インタビュー

安藤裕子の存在感に大泉洋も惚れ惚れ!映画出演への決意を明かす

北海道から、心洗われるような映画『ぶどうのなみだ』が到着した(10月11日公開)。主人公に大泉洋、ヒロインにシンガーソングライターの安藤裕子を迎えて描く物語だ。舞台は北海道・空知(そらち)のワイナリー。丹念に作られたワインのように、味わい深い心温まるドラマに仕上がった。大泉と安藤を直撃し、本作の魅力を聞いた。

大泉が演じるのは、夢破れて故郷に戻り、自分の殻に閉じこもってワイン作りに打ち込む青年・アオ。小麦を育てている弟・ロク(染谷将太)と静かに過ごしていたが、ある日突然、謎の女性・エリカ(安藤)が現れて、2人の生活に新たな風を吹き込んでいく。メガホンをとるのは、『しあわせのパン』(2012)でも大泉とタッグを組んだ三島有紀子監督だ。

大泉は「三島監督から、『今回の役は、寡黙でめちゃくちゃストイックな役です』と書かれたメールをいただいて。『しあわせのパン』でも妻を静かに見守る役でしたから、『また寡黙な役なんだな』と思った」と笑う。大泉自身のイメージとは違うキャラクターとなったが、「三島監督は、普段、私があまり見せないようなところを撮ってくれます。あと、私の顔にこだわってくれるんですよね」とコメント。安藤も「かっこいい大泉洋を撮ってくれる」と楽しそうにうなずく。

安藤はミュージシャンとしてデビュー後、初の映画出演となる。映画の世界に飛び込むのは、どんな心境だったのだろう。すると安藤は「もともと私は、映画の世界に憧れていて」と告白。「高校生の頃に、映画監督になりたいと言っていて。憧れていながらも『自分には無理だな』と徐々に途絶えていった夢でもあったんです。でも、地震で育ての祖母が亡くなって、私自身に子どもが生まれてと、生死について考える時間ができた時に、『自分が死ぬまでに、やりたいと思ったことのすべてをやりたい』と思うようになって。ちょうどそう考えている時に今回のお話をいただいて、是非やらせていただきたいと挑んだんです」。

透明感あふれる存在感。真っ直ぐな瞳からは芯の強さが感じられるが、大泉は「撮影前に、安藤さんが歌っているPVなどを見たんですが、ものすごい世界観が感じられるんですよね。『うわ、すごい人だな』と思った」とその存在感に惚れ惚れ。「でも、撮影に入ったらとてもナチュラルな方で。近付き難かったらどうしようと思っていたんですが、そんなことも全然なくて。一緒にいてとても楽でした」というとおり、インタビュー中も2人の間にはなんとも心地よい空気が流れる。

演じたエリカ役については、「脚本を読んだ時は、自分とは少し遠い人なのかなと思った」と話す。「エリカは感情の動きが大きい人。私の場合、歌う際にガッと強い感情を出すことはあるけれど、それは人前に立つ安藤裕子が持つもの。私自身は、あまり感情を人にさらすことはなくて。どちらかというと、私の母親に似ているかなと思ったんです。感情の起伏が激しいところも、ケタケタと笑って人を包み込むような大きさも、勝手に料理を振る舞ってしまう感じもおんなじ」。

しかしそんなエリカを演じたことで、ある変化が起きたと続ける。「エリカの持っていた強さは、私の根っこにも多分あったものなんだなと思って。見知らぬ自分を引き出してもらったことで、自分の持つ武器が増えたような気がしているんです。演技とはいえ、その人として生きたことで、エリカの強さや経験値のようなものも自分にプラスされたような感じがする。エリカを演じた今の方が、以前よりたくましくなったと思う。不慣れな中、チャレンジして良かったと思います」。

三島監督に感謝しきりの安藤だが、大泉は「今回の映画で、三島ワールドがより確立されたと思う」と話す。「北海道という土地をこんなにファンタジックに描いてくれる人はなかなかいない。三島監督の世界は、感じる映画だと思うんですよね。理屈とか辻褄ではなく、出来上がったものを見た時に『ああ、なるほどな』と思うものがある。ピカソの絵じゃないけれど、1枚の絵に色々なものが表現されているような感じがする。そういう監督と仕事ができるというのは、とても面白いことだし、ありがたいことです」。

ファンタジックな世界観の中に、あらゆる悲しみをも包み込む大きな優しさを描く心温まるドラマ。大人のドラマの完成に、大泉洋も安藤裕子も充実感たっぷり。是非この秋は、おいしい食事とワイン、美しい風景に彩られた大人の映画を堪能してみては。【取材・文/成田おり枝】

■大泉洋
ヘアメイク:白石義人(ima.)
スタイリスト:九(Yolken)

■安藤裕子
ヘア:HIROKI(W)
メイク・スタイリング:安藤裕子
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