注目の女性監督が相武紗季の官能ラブシーンを撮る!
『しあわせのパン』(12)『ぶどうのなみだ』(14)『繕い裁つ人』(15年1月31日公開)など、端正な人間ドラマ描写に定評のある三島有紀子監督。その三島監督が、直木賞作家・桜木紫乃のミステリー小説「硝子の葦(がらすのあし)」をドラマ化する。桜木原作の映像化は今回が初めてとなる。
WOWOWで15年2月21日(土)よりスタートし、毎週土曜夜10:00から放送される全4話の連続ドラマだ。初回は無料で放送されることが決まっている。独自の視点でエロスを綴る作風で、多くの女性から支持を得る桜木作品。本作も女性の業と情念から生まれる犯罪を、性愛シーンを絡めながら巧みに描いている。
釧路湿原をのぞむラブホテル「ホテルローヤル」のオーナーの妻・幸田節子(相武紗季)は、親子ほど年齢が離れた夫・喜一郎と朝食をとっていた。節子の趣味は短歌。喜一郎は自らの勧めで節子が出版した歌集「硝子の葦」に収録されたお気に入りの歌を一首口ずさむ。その歌には、節子の虚無感と退屈、一方で心の奥底に流れる激情がすべて込められているように喜一郎は感じていた。その日の午後、不倫相手とベッドをともにしていた節子のもとに、警察から喜一郎が事故にあったという知らせが届く。医師によると、脳の損傷がひどく意識が回復する見込みはないという。そこへ実母・藤島律子がやってきた。奔放な性格の律子は実は喜一郎の元愛人。幼少期に虐待をうけて育った節子は律子を激しく憎悪している。病院で律子から罵声を浴びせられた節子は…。
脚本は「恋愛ニート 忘れた恋のはじめ方」などで知られる永田優子。主演はNHK連続テレビ小説「マッサン」で、敵役の演技が話題を呼んだ相武紗季。本作で相武は、夫は実母の元愛人で、元雇用主と不倫関係にあり、誘拐事件を起こしたうえ、焼身自殺を図るというあまりに複雑な境遇のヒロインを演じる。さらに、官能的なシーンにも挑戦するという。
これまでのイメージを覆す新たな役柄にいどむ相武は、「原作には過激なシーンがあると聞いていたので、『どんなことが描かれていて、どんな役なんだろう』と思いながら読んだんですけど、自分が思っていた以上にすんなりと受け入れられたというか、女性として共感するところ、憧れる部分がたくさんあって、自分にオファーしてくださったことに対して『嬉しい』と本当に思いました。なかなか演じることのできないような役ですし、ほかでは挑戦できないような刺激的なシーンもあるので、撮影に入るのがすごく楽しみです」と語る。
自身が演じる節子については、「これまでは、喜怒哀楽の激しい役を多くやってきたので、感情を押し殺して進んでいくお芝居が自分の中でどう広がっていって、それが節子にどのように影響していって私と節子がリンクするのか、まだ想像ができないですね。どう演じようというより、自分がどうなっちゃうんだろうと期待する部分が大きいです。」と、不安よりも期待が勝っている様子だ。
三島監督は、「荒涼とした世界に荒涼とした自分。それでも自分の心の中に光る一瞬の感情によって生き始めた節子。そんな節子とともにしばらく旅をしたいなと思いました。そして、桜木紫乃さんのファンであります」と意気込みを語った。さらに、主人公を演じる相武の印象については、「相武さんは新しい世界に生きようとしている。だからきっと、感情を爆発させる演技を見せてくれると思います。相武さんと節子の旅に出ます」とコメントを寄せている。
『繕い裁つ人』では優しい雰囲気のドラマを描く三島監督が、本作の官能的なラブシーンや殺人シーンをどう描くのか。2作を見比べて楽しんでもらいたい。【Movie Walker】