東京上映は連日満席!封印されていた幻の映画『イザイホウ』が地元・沖縄でも公開決定|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
東京上映は連日満席!封印されていた幻の映画『イザイホウ』が地元・沖縄でも公開決定

映画ニュース

東京上映は連日満席!封印されていた幻の映画『イザイホウ』が地元・沖縄でも公開決定

沖縄・南城市に属する離島・久高島(くだかじま)で12年に1回、午年に行われていた最大の神事「イザイホー」を記録した映画『イザイホウ 神の島・久高島の祭祀』(1967年製作)が、このたび、沖縄での公開が決定。それに先立ち、1月7日、沖縄・桜坂劇場にて記者会見が開催された。

久高島は「神の島」として知られ、年間30に及ぶ神事が島の暮らしに組み込まれている沖縄県の離島。それらの神事は今でも島人によって厳粛に受け継がれている。この島最大の神事が、12年に1回、午年に行われていたイザイホーだ。

島の女たちは、ノロ(神女)を中心に神女組織を構成してイザイホーを行うことで、島や島の男たち、そして島の暮らしを守ってきた。また、ドラマチックな構成を持ち、歌や踊りの原点ともいうべき内容を有し、学問上でも価値の高いものとされている。

しかし、地域の祭祀を取り仕切るノロや祭りを司る神女(ナンチュ)の後継者不足の問題から、この映画が撮影された1966年の後、1978年に1回行われたのを最後に開催されていない。イザイホーは、多くの祭りや神事が時代の波とともに形骸化し、観光資源に変身したケースが多い中で、厳粛な神事の心を失わず、消え去った。

映画『イザイホウ 神の島・久高島の祭祀』は、1966年に行われたイザイホーに密着した記録的映画。30歳から41歳の、島で生まれ、島に生きる女が神になる4日間の本祭を中心に、1か月あまりの時をかけて行われるイザイホーの一部始終のほか、久高島での島民の当時の生活が収められている。

記者会見に参加した監督の野村岳也氏は、「撮影の翌年、久高島で初号試写会を開いたのですが、その時、イザイホーを司った神人(かみんちゅ)の女性陣から『この作品はあまり世に広めたくない』という思いがヒシヒシと伝わって来た」と、映画を長らく“封印”していた理由を告白。そして、「40年あまりが経過して時代が変わってきた。久高島の良さは“人間の生活の原型”とも言えるものが残っている点。現代社会では突出しているこのような生活が世に広がれば嬉しい」と、このたびの公開に踏み切った心境を明かした。

ほか、舞台には、地元紙・沖縄タイムスの元記者で、戦後行われた3回のイザイホーすべてを現場取材した宮城鷹夫氏、イザイホーを執り行う久高ノロの四男・安泉正祥氏、宮城監督が撮影していた当時、中学生だった久高島出身の照屋正江さんも登壇。「イザイホーは沖縄の宝」(宮城氏)、「間近に見ていた神女たちの緊張した表情が印象に残っている」(安泉氏)、「当時は子どもだったので、イザイホーがこんなにすごい行事とは思っていなかった」(照屋さん)と、3人それぞれの立場から“イザイホー”に対する思いを口にした。

現在ではイザイホーを映したフィルムがほとんど存在せず、今では実施されなくなってしまった琉球最大の神事。その一部始終が収められている同作は、白黒の映像でわずか49分の作品だが、その何倍もの文化的価値を有する作品となっている。

東京・渋谷の映画館・アップリンクで1月9日(金)まで上映した後、好評につき、1月24日(土)から追加上映が決定。その後、大阪十三のシアターセブンで1月10日(土)~1月23日(金)まで公開、沖縄では2月28日(土)~3月22日(日)の間、桜坂劇場にて公開される。

映画『イザイホウ 神の島・久高島の祭祀』
2014年12月27日(土)~2015年1月9日(金)、1月24日(土)~ 東京・渋谷「アップリンク」1階FACTORYにて公開中
2015年1月10日(土)~1月23日(金) 大阪十三・シアターセブンにて公開
2015年2月28日(土)~3月22日(日) 沖縄・桜坂劇場にて公開
(1967年製作/ドキュメンタリー/モノクロ/スタンダード/モノラル/デジタル上映/49分)
監督:野村岳也(海燕社)
作品情報へ

関連作品