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樹木希林、カンヌでの拍手に「勘弁して」

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樹木希林、カンヌでの拍手に「勘弁して」

第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニングフィルムとして上映された、河瀬直美監督作『あん』(5月30日公開)のプレミアム試写会が、5月26日に明治記念館で開催された。カンヌから帰国したばかりの樹木希林、永瀬正敏、河瀬監督、原作者のドリアン助川のほか、高円宮妃殿下ら特別来賓ゲストが登壇した。

樹木希林は、最初に真摯な表情でこう挨拶。「日本では、平成の世になり、やっとハンセン病が世の中に受け入れられました。でも、それよりもずっと前、昭和23年、高松宮妃殿下が、所沢の全生園で、マスクも手袋もはめず、防御服ももたないで、ハンセン病の人と握手をされている記録がございます。国よりも先に開いてくださったことに感謝して、ここに立っております」。

続いて、カンヌでのスタンディングオベーションの話題に。樹木が「最後にタイトルが出て、明るくなる前に私はさーっと逃げたいと思いましたが、先に拍手が始まって。河瀬さんにすごい拍手なんです。それで、私の方に手を差し伸べられたので、勘弁してと(ゼスチャーで説明)。それくらい恥ずかしかったです」と告白。

河瀬監督は「もし、あのままだったら、スタンディングオベーションは30分になっていたと思います」と笑顔で語った。

ドリアン助川は、感無量の表情でこう締めくくった。「この映画は、ハンセン病そのものを描いたのではなく、人がなぜ生まれてきたのか、人生を全うするのはどういうことなのかと、そんな思いをもって描いたもの。人類の普遍的なテーマに向かっていった映画です」。

特別来賓ゲストとしては、ほかにもドイツ大使館広報文化専門官・ホーボルト幸夫、竹田恒和JOC会長、竹田令夫人、安倍昭恵内閣総理大臣令夫人、安藤裕康国際交流基金理事長、ニコラ・ボナルデル在日フランス商工会議所事務局長も登壇した。

『あん』の舞台は、小さなどら焼き屋。粒あん作りを任された老女・徳江(樹木希林)と、雇われ店長の千太郎(永瀬正敏)、店の常連である中学生・ワカナ(内田伽羅)の交流を通して、根源的な差別問題を描く。現在、世界28テリトリー、30カ国以上での公開が決まっている。【取材・文/山崎伸子】

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