3分でわかるカンヌ国際映画祭(2)
3分でわかるカンヌ国際映画祭(1)より続く――
さらに、並行週間も含めて全部門の中から処女作に与えられるカメラ・ドール(金のカメラ)賞があり、ここから世界に羽ばたいていった監督たちも多い。日本人では河瀬直美監督もその一人。カメラ・ドールから本選コンペでグランプリを獲得したのは2007年のことだった。
カンヌ映画祭は終わった次の日から次年度の作品選びを始めるという。世界各地域に推薦人をおき、各国の作品に一年を通じて目を光らせる。さらに自作の応募を受け付け、映画祭自身からめぼしい監督に新作の出品を要請する。この人ならと目をつけた監督の作品はギリギリまで完成を待つこともあるのだ。
例えばウォン・カーウァイ監督の『2046』(04)。上映日に間に合わず、一日遅れで空港から会場までリムジンで運ばれたものの、まだCGが未完成だった、なんてこともあった。
あくまでも作家中心の選択というカンヌ国際映画祭だが、ハリウッド映画とスターをちゃっかり利用し、観客やジャーナリスト、観光客を集めるのに一役買わせている。ちょうどアメリカのサマーシーズン開始直前なので、ハリウッドの夏の目玉作品をワールド・プレミアとしてカンヌでお披露目するのもここ数年の慣習だ。
昨年は『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』が上映され、コンペティション作品と招待作品が上映されるメイン劇場リュミエールの前は大混乱になったものだ。
今年の開催期間は5月13日〜24日までの11日間。スターと監督とプロデューサーと、ディストリビューターと、ジャーナリストが、カンヌの街を埋め尽くす。【シネマアナリスト/まつかわゆま】
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