トリンドル玲奈&篠田麻里子&真野恵里奈が語る園子温組

インタビュー

トリンドル玲奈&篠田麻里子&真野恵里奈が語る園子温組

山田悠介の人気小説「リアル鬼ごっこ」を、園子温監督が映画化!そのトピックだけで心が躍ったが、完成した映画を観たら、全く想定外の園監督版『リアル鬼ごっこ』(7月11日公開)に仕上がっていて度肝を抜かれた。逃げ惑うトリプルヒロインのトリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜の恐怖におびえる表情になんともそそられる。3人にインタビューし、園組の現場について話を聞いた。

オリジナルは、全国の“佐藤さん”が謎の存在の鬼に追われるという設定だが、本作は園監督が独自の解釈をした新しい物語となっている。ミツコ(トリンドル玲奈)、ケイコ(篠田麻里子)、いづみ(真野恵里菜)という3人のヒロインが、命懸けの逃亡劇を繰り広げる。

トリンドルは脚本について「セリフが多いわけでもないけど、すごく衝撃的なシーンばかりなので、なかなか画が想像できなくて。どういうふうに撮るんだろう?と全く分からなかったです」と振り返る。

篠田は「『リアル鬼ごっこ』を、まさか自分が演じることになるとはと、すごくびっくりしました。おばけや怖いものは苦手ですが、園さんのグロい映画はすごく好きで、観たくなっちゃう。園さんの『冷たい熱帯魚』(10)とかもそうですが、血のりとか、斬るシーンなどもワクワクするというか、そういう世界観は好きです」。

園監督作『新宿スワン』(公開中)やドラマ「みんな!エスパーだよ!」に出演し、『映画 みんな!エスパーだよ!』(9月4日公開)も待機中の真野は、ホラーや怖い映画が大の苦手だそうだ。「園さんの作品は好きですが、『冷たい熱帯魚』はやっぱり観れなくて。でも、1年前の『新宿スワン』撮影中に、園さんから本作の話をいただいて、出たいと思ったのですが、台本を開いたら3番目に自分の名前があって!この並びに自分がいられることがすごく不思議でしたが、いまは園さんやキャスティングしてくださった方々に感謝しています」。

園監督といえば、若手女優をしごき上げ、女優魂を開花させることで知られている。園組初登板のトリンドルは「撮影に入る前に細かい話はなくて。ただ、撮影が始まる直前に監督が来て、耳元で何かを言われて、その後、カメラの横にずっといたりされていました。追加セリフが入ったり、『いまこういう状況だからこういうふうに』と説明をしてくださったりして」と振り返る。

血まみれのシーンが多かったトリンドル。「怖かったですね。でも、私は撮影中にモニターを見なかったので、完成した映画で、初めてあのシーンを観たんです」。同シーンについては篠田も「なかなか見ることができないカットですよね」と言うと、真野も「普通に生きていたら見られない画です」とうなる。

篠田も園組初参加だが、いろんな発見があったようだ。「実際追い込まれた瞬間に、セリフというか、言葉が自然に出てくることを、今回の芝居で初めてわかったような気がします。いつもなら、何かよけいなことを考えてふくらませていたんですが、今回はその時間さえ与えられなかったので。本当にゲームのような感覚で始まり、終わりました。ただただ、必死でしたが、自然に動けたり、相手のセリフによって心が揺らいだりすることは、日常では味わえない揺らぎであり、それがすごく魅力的だなと思いました」。

園監督の映画は3作目となる真野は、いつも細かく指示があるのに、今回は全くリクエストがなかったと言う。「『自由にやって』と言われると返って不安になります。大丈夫なのかなという不安はあったのですが、逆に試されているんだろうなとも思いました。園組も3作目なので、どう出るのかを見られているのかと思い、自分なりにやろうと思いました」。

最後に3人に見どころを聞いた。真野が「今を生きる私たちへのメッセージがセリフに込められている。それは過去の園さんの作品でもそうですが、生きていくうえでのヒントが今回も入っています」とアピール。トリンドルも「それがいっぱいセリフに入っています。ただ、難しすぎて、考えても考えても、答えがなかなか出ないのですが」と述懐。最後に篠田が「あとは、血のりブッチャーなので、そういうのが好きな方には特におすすめです」と締めくくると、みんなで笑い合った。

タイプの違う三者三様のヒロインを演じ切った3人。園監督版『リアル鬼ごっこ』は、ネタバレ厳禁の仕掛けも用意された快作なので、乞うご期待!【取材・文/山崎伸子】

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