東出昌大、根津甚八からの手紙に涙「映画に心血注ぐ」と誓う
石井隆監督のバイオレンス映画『GONIN』(95)から19年、ファン待望の続編『GONIN サーガ』の初日舞台挨拶が、9月26日にTOHOシネマズ新宿で開催。東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、福島リラ、竹中直人、石井隆監督が登壇した。サプライズで送られた根津甚八からの手紙を代読した東出は、涙で声を詰まらせた。
2010年に引退した根津甚八だが、石井監督からの熱烈オファーを受け、『GONIN』の氷頭要役で一度限りの復帰を果たした。手紙には、石井監督やキャスト陣への感謝の思いや、東出たち若手俳優にタスキを渡せたことの喜び、役者という職業への情熱が綴られていた。代読を終えた後、東出はしばし涙をこらえて沈黙した後、こう語った。
「映画は心血を注いで作っています。僕は根津甚八さんが大好きだし、映画のなかの根津さんは考えられないほど魅力的です。今後の僕らは心血を注いで映画を撮り続けるので、みなさんも邦画を観続けて欲しい。本当に根津甚八さん、ありがとうございました」。
桐谷も「共演させていただき、根津さんの役者魂に触れました。お芝居は現実を超える瞬間がある。僕は、本当に素晴らしい世界にいるんだなと、うれしく思いました」と感無量だ。
『GONIN』の2作で共演した竹中は「根津さんには全然かなわない。色気があって、素敵で。その根津さんとまた同じ作品に出演できたことをうれしく思います。あの状態で、根津さんがスクリーンに反射したことが素晴らしい。尊敬すべき俳優さん」とコメント。
石井監督は、根津甚八にオファーしたのは『GONIN』公開の10年後くらいだったと話し「なかなか成立しなくて。そしたら根津さんはどんどんお体を悪くされて。でも、今回、僕は約束を果たせた。根津さんも僕や映画ファンに対して約束を果たしてくれた。約束を守ってくれてありがとうという感謝の気持ちです」と言葉をかみしめた。
『GONIN サーガ』は、数奇な運命を背負った5人の男たちの死闘を描いたバイオレンスアクションの続編。かつての暴力団襲撃事件で命を落とした男たちの遺族が出会い、因縁の相手と戦いを繰り広げる様がつづられる。本作は、9月24日から行われる第34回バンクーバー国際映画祭に正式招待されている。【取材・文/山崎伸子】