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東出昌大&桐谷健太、“まだ見ぬ自分”を引き出した石井隆ワールドの秘密とは

インタビュー 2015/9/26 16:12

東出昌大&桐谷健太、“まだ見ぬ自分”を引き出した石井隆ワールドの秘密とは

佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、椎名桔平、竹中直人、ビートたけしら錚々たる面々が出演し、鬼気迫る演技と、あふれんばかりの色気を炸裂させた伝説的バイオレンス映画『GONIN』(95)。石井隆監督の手によって、19年後の世界を描く『GONIN サーガ』がいよいよ9月26日(土)より公開となる。そこで、新たなGONINのサーガ(伝説)を作り上げた東出昌大と桐谷健太を直撃。「自分の見たことのない表情を見た」と声を揃える、熾烈を極めた石井組の感想を語り合ってもらった。

ある5人組による暴力団襲撃事件で命を落とした遺族が出会い、因縁の相手と死闘を繰り広げる姿を描く本作。激しく打ち付ける雨、鳴り響く銃声、むせかえるような血の匂い。極限状態に置かれた若者たちの“生”が、激しく、生々しく、映画に刻み込まれた。過去の事件で殺された大越組の若頭・久松の遺児である勇人を演じた東出は「石井監督に『19年経って、この作品をつくってよかったですか?』と聞いたら、『よかった』と言ってくださった。最愛の人を思うような気持ちで本作を温めていた石井監督がそうおっしゃってくださったのはうれしかった」と噛みしめるように、手応えを口にする。

勇人の幼馴染で、大越組の組長の遺児・大輔に扮した桐谷は、「台本がものすごく分厚かった。撮影期間も短くて、朝から晩までの撮影で体もどこかしらおかしくなってきましたね」と過酷な撮影を述懐。「ものすごく雨のシーンが多くて、雨にずっと当たっているとテンションもだんだんおかしくなってきて。映画のストーリーとどんどんリンクしていって、演じていたのか、激流に流されていたのかわからなくなってきた」

さらには「転がっている感じがこの映画の強み。人間って実際は、『こいつとは友達だ』とか、『こういう関係だから』とか考えながら生きているわけではない。それと同じで、撮影中は、気がついたら次から次へと流されていくという感覚でした。重い岩をも動かすような激流に入り込んだ感じでしたね。激流にもまれる男のサガのようなものを演じられて、すごくうれしかったです」と撮影では、ストーリーとリンクしたような、理性を超えた感覚を実感したそう。

東出も「昼夜問わずの撮影で、僕、ほとんど記憶がないですもん。撮影の最後の5日間なんて、一週間くらいなのか3日くらいなのかわからなくなったくらい。カメラもどこから何台で狙われているのかもわからないし、いつの間にか日が暮れていたり、『あれ、今何時なんだ』と思ったり」と笑う。「その追い込むような世界観を作ってくれたのは、石井監督。例えば、クライマックスのシーンは、ダンスホールと地下を同じ空間に作りたいとこだわってらっしゃって。密閉された芝居を作りたかったんですよね。そうやって創意工夫をして、厳しい条件を積み上げていくことも石井監督の狙いだったんだと思います」

劇中で彼らが見せるのは、まさに動物のようなギラギラとした目と叫び。東出は「銃と暴力と雨の中で、みんな本能的な動きを見せていたと思います。動物的な目つきや表情になっていた。それがすごく生き生きとしていて、極限にいる人間に見えた。今までにない、東出の表情も見た気がしています」と充実の表情。桐谷は、中でも“目”を見てほしいという。「それぞれの目が印象的。石井監督が見せたい人間の強さや悲しさは、目に出るのかなと思った」

俳優引退を宣言し、今では車椅子生活を送っている根津甚八が本作限りの復帰を果たしたことでも話題だが、桐谷は根津の目から多くのものを受け取ったという。「僕の足を根津さんがつかむシーンがあって。石井監督が、『根津さん、目を撮っているよ!』と叫んでいたんです。根津さんもそこで、グッとした強烈な目でこちらを見てきた。パッションや、生きようと必死で動いているヤツらの目を感じて、その目にすべてが集約されている気がしたんです」

そして、根津の並々ならぬ役者魂をも感じ取った。「根津さんはお体を悪くされて、それでも石井監督の作品ならば出たいということで、体がままならない中でも芝居をされた。エネルギーというか執念のようなものを感じて、『俺はなんて素晴らしい世界にいるんだ』と思った。この世界にいられることは当たり前じゃないし、映画やお芝居には何かを超えたものがある。感動して涙が出そうになりました」

根津は事務所の先輩でもあるという東出は、本作への出演を「プレッシャーと受け止めず、タスキだと受け止めて次につなげようと思った」そう。過酷な現場で引き出されたのは、人間の“生きる”という本能。二人は「芝居を超えていた」と興奮気味に語る。是非とも、『GONIN サーガ』に込められた熱をスクリーンで目撃してほしい。【取材・文/成田おり枝】

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