木村文乃、話題呼ぶ手料理“ふみ飯”の原点を明かす
連続ドラマで初主演を飾るなど、2015年は女優・木村文乃にとって、大きな飛躍の年だった。2016年は、ネイチャー・ドキュメンタリー『シーズンズ 2万年の地球旅行』(1月15日公開)で、初めての映画ナレーションにチャレンジする。女優として大役を任されることも多くなった今の率直な心境。そして、ネット上で話題となっているプロ顔負けの手料理“ふみ飯”の原点までを聞いた。
本作は、2万年にわたる人類と自然の歩みを描く壮大なネイチャー・ドキュメンタリー。木村は「動物と人がどのように関わってきたのかという2万年もの歴史を、丁寧に優しく教えてくれる映画。ネイチャー・ドキュメンタリーに、人間が出てくるのは斬新だと思いました。そのことによって、映し出される動物たちの生き様が、自分たちにとっても他人事ではなくなる」と、本作を「人類と動物はお互いにとってどんな存在か」を考えられる映画だという。
映画ナレーションの仕事は初挑戦となった。「流れるように話すことができなかったり、変な波を作ってしまった瞬間に、観ている方を現実に引き戻してしまうと思って。そうなったらナレーター失格。OKが出ても、『ちょっと今のところ気になるので、もう一度やらせてもらっていいですか?』とお願いしたこともあります」と自分に厳しい一面をのぞかせるが、「私は全部が人並みだから、自分に発破をかけないと人並み以上になれなくて。いつも自分のお尻を叩くようにしています」とその心中を明かす。
2015年は「マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜」で連続ドラマ初主演を務め、「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」での刑事役も話題に。映画も『イニシエーション・ラブ』をはじめ出演作が相次いだ。「アクションや、刑事ものもやらせてもらったりと、こんなにもいろいろな役をやらせていただいたのは初めて。主演という揺るがないポジションでやらせていただくのもこれまでにない経験だったので、挑戦の年だったし、自分の中での感情の揺れも大きな一年でした」と節目の一年となった様子。
「感情の揺れ」とは、「主演やヒロインとなると、責任の重さも全然違いますから。『平然に、平然に』と思っていても、環境や自分の気持ちに振り回されてしまいがち。なかなか大変ですね」とのしかかるプレッシャーのこと。「やりたかったお仕事の機会をいただくと、本当に続けていてよかったと思います。でも責任やプレッシャーはどんどん重くなっていくので、ただ目の前のことだけをがむしゃらにやっていたときの方が、幸せだったのかもしれませんね。まだ今は、その責任を『楽しい』と土台にして、羽ばたけるまでにはいっていないです」と、どこまでもまっすぐでストイックだ。
「マイペース」と自身を分析するが、多忙を極める中、自分のペースを保つ秘訣が気になるところ。「生活リズムを崩さないというのが、自分には一番合っているみたいです。遅い時間に寝たとしても、なるべく『何時に起きる』と決めたルーティーンで生活していく。出るのがどんなに早くても、洗濯と掃除だけはして、家をきれいにしてから仕事に出る」。簡単なようでなかなかハードルの高いルールにも思えるが、「私もできないときがありますよ。『うわ!洗濯もの溜まってる!』って(笑)。でもそれでも自分を責めないようにしています。『今からきれいにする!』って」。飾らない、自然体の生き方が魅力的だ。
家での過ごし方が肝心なようで、それは食生活もしかり。自炊に励み、ネット上では木村の彩豊かな手料理写真が“ふみ飯”として人気を呼んでいる。「やっぱり親の影響が強いですね。母親は、私と弟が中高と6年間お弁当だったときに、一度も冷凍食品を入れたことがなくて。実は朝が苦手だったのに、私たちより2時間くらい前に起きて準備をして。いつも彩りとバランスのよいそのお弁当が、私は大好きだったんです。それで育っているから、彩りよく、バランスよくというのが根っこ付いている気がします」と母に感謝しきりで、「自炊は自然と身についたもの。外で食べることが続くとお腹が痛くなっちゃう」と軽やかに笑う。仕事へのストイックな姿、そして女性としての生き方。2016年もますます木村文乃が注目を集めそうだ。【取材・文/成田おり枝】