ぺ・ドゥナ遅れて到着!『空気人形』の舞台挨拶

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ぺ・ドゥナ遅れて到着!『空気人形』の舞台挨拶

遂にお目見え、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された、是枝裕和監督最新作『空気人形』(秋公開)。人の心をもってしまった空気人形のイノセントな恋を、ときにやさしく、ときに激しく綴った詩的なファンタジーに仕上がっていた。

本作の完成披露舞台挨拶がシネマライズで行われ、ARATA、板尾創路、是枝監督の3人が登壇。主演のペ・ドゥナは、飛行機遅延のため、後から駆けつけるということで、3人とも場をもたせようと、ゆっくりめにご挨拶。

まずは是枝監督がマイクをとった。「(カンヌでの上映以後に)編集し直して出来あがったのが昨日です。納得できるものができました。自分で観ても、観る度に新鮮な発見がある映画になりました。ペ・ドゥナが来るかもしれないので、少し長めに挨拶します(会場・笑)」

是枝監督作3作目になるARATAは、ペ・ドゥナ扮する空気人形が恋する青年・純一役。「僕を初めて、役者の仕事に、映画製作の現場へ導いてくれたのが是枝監督。是枝組はいつも特別な思いをもって参加させてもらってます。自分自身が大切にしていたいものを改めて見直せた作品です。あ、ぺ・ドゥナが来るので僕もぐだぐだ話します…(苦笑)」。

板尾創路は、空気人形と暮らす孤独な中年男性役だ。板尾が挨拶をし始めた頃、どうやらぺ・ドゥナが会場に到着したらしい。「もうそこまで来てますね」と、実況中継を交えながら、本作への思いを語った。「世界の人に観てもらえる作品になったと思います。空気人形という主人公が違和感なく、映像のなかに溶け込んでる気がするので。あ、主演女優が遅れてますが、大丈夫です! もう少しで来ますので」

おお〜、お待ちかねのぺ・ドゥナが到着! 「送レテ、申シ訳アリマセンデシタ!」と息を切らしながら日本語でお詫びをするぺ・ドゥナ。

空気人形の役柄については「すべての台詞が日本語で、人形という役が難しいと思いましたが、オファーをもらってすごく嬉しかったです。監督の作品はすべて観てたし、素晴らしい監督だと思っていたので、お受けすることに迷いも戸惑いもありませんでした」と語った。

3人の男性陣は、ぺ・ドゥナ到着に胸をなでおろしながら、それぞれに彼女とのエピソードを披露。まずは、是枝監督から。「コメディのセンスもあるし、ナイーブな演技をする女優さんで、いつかいっしょに仕事をしたいと思ってました。オファーしにくい役でしたが、これは人間についての映画です、と説明したらやりたいと言ってもらえてよかったです。僕としては実現してうれしい共同作業でした」

ARATAは、「彼女は日本語は何をしゃべってるかだいたいわかるので、ぼくは普通に日本語で話してました。彼女の方がいちご大福をくれたりとやさしくしてくれたので、僕もだんだん心を開いていきました」と語った。

板尾はあるシーンの役作りのため、あまり自分からコミュニケーションをとらなかったと言う。「物でつるしかなくて、いろいろとプレゼントしました(笑)。パーカや、僕のCDとか。失礼極まりない日本人やと思われたかもしれない。でも、僕は1歳9か月の娘がいますが、心を持った空気人形が娘と被って。本当にかわいくて、家に持って帰りたいと思いました」

確かに、劇中の空気人形に扮したぺ・ドゥナは、彼女以外には考えられないほどのハマりっぷりだ。ピュアで、愛に対して一途で、それゆえに哀しい空気人形の恋からは、いろんなメッセージを受け取るだろう。是枝監督が繰り広げるちょっぴりビターなファンタジーをぜひ堪能して。【MovieWalker/山崎伸子】

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