dTVドラマ「裏切りの街」三浦大輔監督「人は性欲に揺れ動かされる」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
dTVドラマ「裏切りの街」三浦大輔監督「人は性欲に揺れ動かされる」

インタビュー

dTVドラマ「裏切りの街」三浦大輔監督「人は性欲に揺れ動かされる」

乱交パーティに集う男女を描いた人間ドラマ『愛の渦』(14)の三浦大輔が、dTV初の“R15指定”となったオリジナルドラマ「裏切りの街」を手がけた。信頼のおける俳優、池松壮亮と寺島しのぶを迎えた本作は、『愛の渦』同様に、彼が作・演出した舞台作品を映像化した作品だ。いま世間的に熱い“不倫”というテーマに、三浦監督がどうアプローチしたのか、話を聞いた。

平凡な専業主婦 (寺島しのぶ)が、ある日ネットを通じて、15歳も年下のフリーター(池松壮亮)と出会う。2人には、お互いに献身的な夫や恋人がいるが、逢瀬を重ねていく。やがて、2人はある現実にぶち当たる。

三浦監督は、不倫をドロドロしたメロドラマとして描くのではなく、もう少しリアルなものとして描くという着地点を目指した。

「何か大きな理由があり、パートナーを裏切って別の人に行くというのが従来の不倫ドラマですが、そんなものかな?と思っていて。浮気する瞬間は、大した理由付けもなく、何となくやっちゃうのかなと思い、そこを描こうと思いました。行動自体はひどいんですが、そこを愛らしく、人間らしく描きたかった。人間の根源的な欲求ですね。あと、その浮気相手に執着していないというところもポイントです」。

『愛の渦』の熱演も記憶に新しい池松は、毎回いっしょにやりたい素晴らしい俳優だと絶賛する。「池松くんは、自分がどう目立とうとか、どういたいというのではなく、作品中心に動いてくれる人。作り手にとっては、いっしょに作品を作っている感覚でいられるので、心強いですし、役がなくても、池松くんに当てはめた役を作りたくなります」。

今回、池松には、あまり役が重くならないようにというリクエストをした。「池松くんはシリアスな役が多かったので、今回はもうちょっと、足が宙に浮いている感じでやってほしいと言いました。実際、それは意識してやってくれたと思います。彼は、重い役だけじゃなくて、ある意味“笑い”がとれる、愛らしい役もきちんとこなせると思っていたので」。

寺島とは、理想とする演技の価値観がすごく似ていると共鳴できたそうだ。「前回、舞台『禁断の裸体』で初めてごいっしょしましたが、初めてとは思えないくらいすごく心地が良かったんです。それで、『裏切りの街』の映像化が決まった時も、是非、寺島さんにやってほしいとオファーしました。寺島さんも快く受けてくれました。自分が信頼できる役者さんたちが揃ったので、本当にありがたかったです」。

性描写についても果敢に斬りこんできた三浦監督だが「エロには興味がないんです」とあっさり言う。「人は性欲に揺れ動かされるものなので、その感情は描きたいけど、セックス自体を描きたいわけではなくて。それはゴールであり、目的なんだけど、実は通過点でしかない。軽いものだとは思ってないけど、性に凌駕されたり、性をモチベーションとして動く人間を描きたい。それが良いのかわからないし、僕の作家性と言ってしまったらそれまでですが、男と女を描くにあたり、そこは外せない。人間の普遍的なあり様なので」。

映画監督作としては『桐島、部活やめるってよ』(10) の朝井リョウの原作小説を映画化した『何者』(秋公開) がまもなくクランクインする。「演劇では、自分がやるべきことが何となくわかっているんですが、映画ではまだぼんやりしていて、模索中です。それを早く見つけるためにも、いろんなことをやっていきたいです」と、真摯に向き合う姿勢も素晴らしい。

不倫ドラマなのだが、確かにこれまでの同ジャンルの作品とは一線を画し、生々しいリアルさにドキリとさせられる「裏切りの街」。今後、映画監督としてもますます右肩上がりの躍進を見せていくであろう三浦大輔の監督作という点でもチェックしていただきたい。【取材・文/山崎伸子】

dTVオリジナルドラマ「裏切りの街」は2月1日(月)よりdTVにて全6話配信中(R15指定)
監督:三浦大輔 出演:池松壮亮 寺島しのぶ 中村映里子 落合モトキ 駒木根隆介 佐藤仁美 平田満
※dTVでは、三浦大輔が監督を務めた「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(2月6日配信開始)など70タイトルを超える舞台作品も見放題で配信中
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