西島秀俊、ベルリン国際映画祭でのスタンディングオベーションに感無量
現在開催中の第66回ベルリン国際映画祭に黒沢清監督の最新作『クリーピー 偽りの隣人』(6月18日公開)が正式出品され、現地時間2月13日に「ベルリナーレ・スペシャル」部門でワールドプレミアとなる公式上映が開催。黒沢監督をはじめ、西島秀俊、竹内結子、香川照之がフォトコール、記者会見、レッドカーペット、舞台挨拶に参加した。
第49回(1999年)でフォーラム部門に出品した『ニンゲン合格』以来、実に17年ぶりのベルリン国際映画祭となる黒沢監督。昨年、『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞したこともあり、ベルリンでも新作への注目度は高く、公式上映のチケットは売り切れに。満席となった会場の1650人の観客から温かい拍手で迎えられ、上映後にはスタンディングオベーションが巻き起こった。
上映後、登壇した黒沢監督は、「こんな気味の悪い映画を、こんな美しい会場で上映するということを決断していただいたベルリン映画祭には本当に勇気があるなと、深く感謝いたします」とコメント。「映画の中ではかなり変な人ばかり出てくるのですが、ここに並んでいる3人の俳優は、普段はみんな紳士的で優しい人たちだということをこの場を借りて言っておきたいと思います」と挨拶すると、主演の西島が「香川さんはちょっとクレイジーなところがあります(笑)」と繋げて、場内が爆笑に包まれる場面も。
第52回(2002年)のパノラマ部門に出品された『いたいふたり』(02/斎藤久志監督)以来、14年ぶりのベルリンとなった西島は、万来の拍手に、「盛り上がりと反応の良さは、これまで感じた事が無いほどで、とても幸せな上映でした」と感無量。竹内も「ああ、これが映画祭ってやつか、ってお客様の反応を見ながら感じました。こうやって反応してくださる方がいて、こうやって映画が完成するんだなって、この作品に出演できてすごく幸せです。とても素晴らしい体験をありがとうございました」と笑顔を見せた。
香川も、「本当に素晴らしい監督とともにベルリンの地に立てたことに本当に感謝します。黒沢監督ありがとう」と、黒沢監督に謝意を表しつつ、「これほど拍手が起きた上映は、今までで一番かもしれません」と会場の反応に喜んだ。また、ドイツ語で「皆さん、こんばんは。香川照之です。私は映画のキャラクターと同じ性格です」と自身が演じた少し不気味な隣人に引っ掛けた挨拶には会場も大爆笑し、大いに盛り上がりを見せた。
会見で作品について、「怖いから始まり、徐々に引きこまれて心がウキウキしていく、滅多に観れない映画になったと思います。興奮を感じて欲しいです」「家族という基本的なコミュニティと思われていたものが壊れてきて、孤独と隙間が生まれています。映画はそこにつけ込んだ悪意を描きました。家族と言う単位が揺らいでいる原因の根は、とても深いと思います」と語った黒沢監督。今回はどんな世界観が展開されるのか、日本での公開が楽しみだ。【Movie Walker】