黒人オスカー俳優、白すぎ批判に「実力勝負!」で絶賛

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黒人オスカー俳優、白すぎ批判に「実力勝負!」で絶賛

現地時間の2月28日に開催される第88回アカデミー賞授賞式を前に、『Ray/レイ』(04)で主演男優賞を受賞した黒人俳優のジェイミー・フォックスが、白すぎるオスカーを非難してボイコットを表明している黒人俳優に、「もっといい演技をしよう」と実力で勝負するように訴え、絶賛されている。

その俳優とは、ジェイミーが『ALI アリ』( 01)で共演したウィル・スミスだ。妻のジェダ・ピンケット=スミスが、主演男優賞及び女優賞、助演男優賞及び女優賞の20人が、2年連続で全員白人だったことを受けて、授賞式のボイコットを表明。その後、『ALI アリ』と『幸せのちから』(06)でノミネートされながらも無冠に終わり、今年は『Concussion』でのノミネートを逃したウィルも、妻の意見に追従した。

アメリカン・ブラック・フィルム・フェスティバルの授賞式で登壇したジェイミーは、「白すぎるオスカー(#OscarsSoWhite)」について、「まったく気にしてないよ。友達にも、『(白人だらけで)怒っている?』って聞かれたんだけど、全然さ。っていうか、何が問題なのかなって感じ」

「それでデンゼル・ワシントン(『グローリー』(89)、『トレイニング・デイ』(01)でオスカーを2度受賞している黒人俳優)に電話して、ふたりでオスカー像と一緒に撮った写真をインスタグラムにポスティングしたんだ」と語った。

そしてジェイミーは、ウィルを真似た黒人なまりの英語で「もっといい演技をしよう」と冗談交じりに叫んだとデイリー・メール紙が伝えている。

それについてネットユーザーからは、「よくぞ言った!ジェイミー」「全く同感だ」という賛同の声が殺到している。

「トム・クルーズだって白人だけど、ノミネートすら厳しい」「20人の枠は狭き門だ」「白人だって、ノミネートすらされてない俳優の方が多いはずだ」「レオナルド・ディカプリオはやっと今年受賞できるかもしれないけど、マーティン・スコセッシ監督は一体受賞に何年かかったと思っているんだ」「『ルーム』の(子役)ジェイコブ・トレンプレイもノミネートされてないのに、ウィルがノミネートされるはずがない。これは子供差別なのか?」「主演男優賞にノミネートされた5人より、自分が優れているとでも思っているのかな」といった意見。

さらには、「黒人俳優が白人俳優に占める割合もあるけど、出演する作品や役どころに問題があるから、ノミネートされなくてもある意味仕方ない」「ヒスパニック系やアジア系はどうなの?」「仕事でも、『黒人だから採用されない』って言うやつがいるけど、そうじゃなくて実力だよ」「白人って人種をひとくくりにしているけれど、ユダヤ系アメリカ人がほとんどノミネートされてないっていう事実はどうなるの?」「ユダヤ人が全人口に占める割合から考えたらノーベル賞は取れないはず。でも受賞しているのは、優秀だからだ」といったような、さまざまな意見も寄せられている。

先日、ユダヤ系アメリカ人として知られるスティーブン・スピルバーグ監督が同問題について、「必ずしも多様性がないとは思わない。何故なら、2年前には(黒人監督が奴隷問題を扱った)『それでも夜は明ける』(13)が作品賞を受賞しているし、(黒人女優の)ルピタ・ニョンゴが助演女優賞を受賞している」と語ったコメントへの同意も多いようだ。

これらのボイコット表明を受けて映画芸術科学アカデミー協会は、多様化に向けてメンバー構成の入れ替えを表明したが、「例えば、ヨーロッパの監督や俳優などのメンバーの数を増やす」といった意見には、「ヨーロッパは、アメリカとは比にならないほど白人至上主義」「黒人が、いわゆるアカデミー協会が認めるアート作品の主役にならないと、いつまでたっても同じだと思う」「アカデミー協会の芸術の定義が問題だと思う」といった意見も寄せられている。

しかし、かねてより、「一般人とはかけ離れている」と位置づけられていたアカデミー賞が今後どのように変化していくのか、今後の動向に注目が集まっている。【NY在住/JUNKO】

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