山本舞香、ボカロの映画化『桜ノ雨』をウエダアツシ監督と語る

インタビュー

山本舞香、ボカロの映画化『桜ノ雨』をウエダアツシ監督と語る

青春グラフィティ映画の鉄板要素「桜」「卒業」に加え、ミリオンヒットを記録したボーカロイドの卒業ソング「桜ノ雨」、そこに期待の新星・山本舞香という最強のヒロインが加わった同名青春映画『桜ノ雨』が3月5日(土)より公開される。メガホンをとったのは、衝撃作『リュウグウノツカイ』(14)で若手女優陣のみずみずしい感性を引き出したウエダアツシ監督だ。待望の映画初主演を飾った山本舞香とウエダ監督に単独インタビュー!

第14代リハウスガールの山本は、ドラマ「南くんの恋人〜my little lover」のヒロイン役でお茶の間の人気も集め、映画『暗殺教室~卒業編~』(3月25日公開)、映画『殿、利息でござる!』(5月14日公開)も待機中という、2016年の伸びしろがハンパない注目株だ。山本が『桜ノ雨』で演じたのは、友情や進路、ほのかな恋に揺れ動く高校の合唱部員・遠野未来(みく)役だが、ティーンエイジャーならではの刹那的な輝きが映し出されていて、とにかくまぶしい。

山本は「初主演ということで、かなりプレッシャーを感じました。ボカロの人気小説の実写映画の主演ができるということで、マジですか?と。もちろんうれしかったですし、やらせていただけるのなら、一生懸命頑張ろうと思いました」と、ウエダ監督と顔を見合わせる。

『桜ノ雨』は、作詞・作曲の halyosy が自ら原作・原案を手掛けた作品だ。ウエダ監督は同曲について「とっても良い曲だなと思いました。舞香ちゃんの世代でも僕の世代でも共感できる歌詞で、メロディもすごく良いですよね」と印象を語る。

『桜ノ雨』でウエダ監督は、主要キャストらを集めたリハーサルを撮影前に行った。「今回は、事前に歌の練習などの前準備が多い作品だったので、お芝居のリハーサルもちょっとだけやらせてもらいました。今までメイキング撮影などの仕事で、いろんな現場を見てきましたが、どうしても低予算の現場ではスケジュール優先で、若い子たちがお芝居を見てもらえてない状況だったりするんです。『リュウグウノツカイ』を監督して思ったことは、的確なヒントさえあげれば、若い子たちはもちろん技術面の個人差はあるけど、ちゃんと面白いお芝居を出してくれるということです。できることなのに、やれなかったりするのがもったいないと思っていたので」。

山本は、リハーサルができたことが功を奏したと言う。「私は、台詞だけを入れていき、現場で自由に直感で動いてしまうタイプなんです。でも、今回はリハーサルでみなさんと合わせられたおかげで、感覚がつかめました」。

また、山本自身もウエダ監督には絶大な信頼を寄せて現場に臨んだ。「最初にお会いした時から、この方は絶対優しい監督だなと思いました。ちゃんと話を聞いてくださる監督だから、ずっと二人三脚でやっていて、不安は全くなかったです」。

ウエダ監督も山本については賛辞を惜しまない。「舞香ちゃんは、ちょっとした表情のお芝居がものすごく繊細なんです。本番前にテストをするんですが、テストでモニターを見ていて、ああ、いまカメラを回しておけば良かったと思う瞬間が何度もありました」。

合唱シーンがいくつか織り込まれているが、歌う山本らの表情は、もぎたての果実のようにフレッシュだ。移りゆくいまの彼女たちの世代にしか醸し出せない嘘のない鮮度を感じる。山本は、合唱のシーンで実際にヒロインの感情に寄り添い、現場では自然と涙が流れたそうだ。

山本は「合唱でしかできない一体感を感じてほしい」と言う。「1人ひとり性格が違うし、それぞれに自分との葛藤があります。でも、合唱ではみんなが1つになれるんです」。

ウエダ監督も「でっかい口を開いて一生懸命歌う表情とか、声から出る若さとか、高校生の合唱だから、より一層、胸に響くのかなという気もしています。そのあたりをスクリーンで、大音響で感じていただきたい」と猛プッシュ。

折しもいろんな卒業が訪れる3月。『桜ノ雨』は、満開の桜のように、前へ進もうとする人々の背中をそっと押してくれるような作品に仕上がった。また、女優・山本舞香の記念すべき初主演映画を心ゆくまで堪能していただきたい。【取材・文/山崎伸子】

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