大泉洋が語る、有村架純や長澤まさみとの共演秘話

インタビュー

大泉洋が語る、有村架純や長澤まさみとの共演秘話

「役者は、いままでやったことがないことをできるのが何よりもうれしい」。花沢健吾の同名人気コミックを映画化した『アイアムアヒーロー』(4月23日公開)で主演を務めた大泉洋の言葉だ。同志のように感じたという有村架純や長澤まさみとのエピソードをはじめ、気になる撮影秘話について、彼に話を聞いた。

大泉洋が演じた主人公・鈴木英雄は、冴えない漫画家アシスタントだったが、ある日、その平凡な日常が一変する。ウィルス感染により、人間が変貌した謎の生命体ZQN(ゾキュン)が街に溢れ、パンデミック状態となったのだ。やがて英雄は銃を手に闘っていく。

「最初に話をもらった時、(配給元の)東宝さんの最後の稟議が通っていなかったくらい過激な映画。日本映画というよりは、ハリウッドのアクション大作のような映画です。ものすごくわかりやすいスーパーエンタテインメント作品だと思います」。

有村演じる早狩比呂美は、半感染状態となるが、人を襲うことはなく、英雄と行動を共にしていく。「有村さんとは、韓国ロケへ行くまではずーっと2人のシーンを撮影していて、韓国へ行ってからは共演者もほとんどいなかったので、役柄同様に『彼女を守る』という気持ちがリアルに芽生えました」。

大泉は韓国で有村と食事をしたそうだが、少し気がかりなことがあった。「彼女は年頃の女優さんで、あまり太れないから、おそらく食事にもすごく気を遣っていたと思うんです。でも僕が連れていったのが、カロリー高めの“炭水化物祭り”みたいな店で、いま思い返すとあまり食べてなくて。その時は小食な子だなと思ったけど、よく考えたら若い女優さんに食べさせるメニューじゃなかったです(苦笑)」。

大泉洋は、韓国ロケを振り返り、有村を戦友のように思ったそうだ。「いまも彼女が出ている作品を観ると、大変だったロケを思い出すんです。そして『頑張ってるか?』と声をかける。僕は彼女のことを一生応援するだろうなと(笑)」。

元看護師の藪役の長澤まさみとは、長澤が10代の時にテレビドラマ「明智光秀」(07)で初顔合わせして以来、何度も共演している。「長澤さんとは、『トムとジェリー』のような関係ですかね(笑)。僕がトムで、彼女に突っ込んだり、『やかましい!』と怒ったり(笑)。今回は過酷な撮影でしたから、長澤さんの明るさはすごくありがたかったです」。

本作の長澤について「アクションをしている長澤さんは格好良い。藪役は長澤さんがやったことで、すごく幅が出たと思います。10代の頃とは違い、いまは大人の女性の色気みたいなものをまとってらっしゃるからすごく良かったです」と称える。

韓国ロケは大変だったが、楽しくもあった。「韓国では我々を知っている人が少ないから、気楽に街中を歩けるんです。ホテルの前にコンビニがあり、椅子があって飲食ができたんですけど、撮影後にみんなで合流して、コンビニ前で軽くその日の打ち上げができるんです。日本じゃできないから、その開放感がうれしくて。ある意味、贅沢で、普通の生活ができる特別な時間でした」。

韓国ロケでいちばん精神的に辛かったのは、家族と会えないことだった。「激しい映画で且つ撮影は長時間に及ぶので本番中は絶叫ばかりでしたが、待ってる間は出家したかのように“無”でしたね(笑)。でも、疲れ切っている役だから、良かったのかもしれない。佐藤監督の現場はすごく穏やかだけど、ある意味タフ。さまざまなカットを無数に撮り続けるから終わりがない。だからこそ上がりが良いし、格好良くて、スピード感がある。絶対に映画を面白くする人だとわかっているから、絶対的な信頼感がありました」。

実際、完成した映画を観た時は、自身の出演作でありながら、驚きと興奮の連続だったと言う。「自分は物語をわかっているはずなのに、何回か椅子から飛び上がりました(笑)。クオリティの高さにワクワクしましたね」。

『アイアムアヒーロー』。闘い抜いた大泉洋のたたずまいが、このタイトルの意味を雄弁に物語っている。役者・大泉洋の底力を見よ!【取材・文/山崎伸子】

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