伊藤英明と武井咲『テラフォーマーズ』で共演。パワフルな原作に挑む原動力とは?
累計発行部数1600万部突破の大ヒットコミックを実写映画化する『テラフォーマーズ』(4月29日公開)が、いよいよスクリーンに登場する。超ド級のパワーをもった原作に挑んだ伊藤英明と武井咲を直撃し、『テラフォーマーズ』の世界に感じた魅力。現場で受けた刺激を語り合ってもらった。
本作は、火星に放たれた“ある生物”の駆除というミッションを課せられた15人のメンバーが、火星で体験する恐るべき出来事の数々を綴る物語。伊藤は「ものすごいアイディアとエネルギーの詰まった作品。それでいて、どこか近未来に起こりうるようなストーリーで、いろいろな想像を膨らませることができた」と原作の魅力を語る。さらにそれを三池崇史監督が撮るということで、オファーには「すぐに飛びついた」という。
武井はもともと原作のファンだったそうで、「普段はあまり漫画を読まないんですが、友達から『とにかく読んでみて!』とすすめられて。ちょっと読んでみるかくらいに読み始めたら、ものすごくハマっちゃったんです(笑)。人間が超人的なパワーをもつとこんなことになってしまうんだという、想像を超えるストーリーで、思いもよらぬ展開ばかり」とにっこり。
原作ファンとしては、映画化のオファーはどのように受け取ったのだろう。「漫画は頭で想像して楽しむもの。でもそれを動くものとして目で見られるというのは、私も個人的にすごく楽しみで。演じる側としては、大変な撮影にはなるだろうという覚悟はしましたね。完成したものを観ると、目で楽しむ『テラフォーマーズ』の世界にはすごくワクワクとするものがありました。見たことのないものを見られた気がしています」とうれしそうに語る武井。
なかでも「テラフォーマーがうじゃうじゃ出てくるシーン!空気感や色まで伝わってくるので、あのシーンの迫力といったら…。ものすごくショッキングでした」とテラフォーマーの登場シーンを大いに楽しんだ様子だ。すると伊藤も「まるでアトラクションに乗っているような感覚のある映画だよね。友達同士で歓声を上げて観るような映画。映画を製作する側としても、こういう実写化の方法があるんだと刺激や興味を掻き立てるような映画だと思う」と完成作に大満足だ。
“見たことのない世界”を作り上げる撮影は、「体力勝負」だったそう。伊藤は「変異した後の装備は、特に重かったですね。すべてが初めての経験です。スーツを身につけてみないとわからない部分も多いので、こういう動きもできる、こういうものが撮れるというのを、現場で絵コンテとして描いていくんです。パズルを一つ一つはめ込んでいくような作業でした。テラフォーマーとの戦いも終わりが見えないけれど、僕らも現場で出口の見えない戦いをしていた感じで(笑)。2時間半かけて支度をして、5分撮影をして、他の人の撮影が終わったら、また自分の撮影をしての繰り返し」と過酷な撮影を述懐。
「パンチを打つシーンでは、スーツの袖口から汗が飛び出たり、メイクをとるとどっと汗が吹き出したり」と汗まみれの撮影となったが、「原作にもものすごいエネルギーがある。原作ファンの方が興味を持って見てくれると思うと、それを楽しみにやることができました」と、伊藤は原作ファンの存在を糧に挑んだという。
また三池監督も、二人にとって大きなパワーをくれる存在だ。『愛と誠』(12)で三池組を経験済みの武井は「初めてご一緒したときから、監督には何かを見透かされているような気がしていて。いい緊張感があって、ドキドキする感じなんです」と告白する。「三池監督には、撮れないと思われているものや、できないことに挑戦してみようという勢いがあって。私もそれに食らいついて、『同じ景色を見たい』といつも思わせてくれる監督。三池監督の現場は一緒に戦って、一緒に一つのものを作り上げていく感じがあって、それがとても好きです」
伊藤にとっては、三池監督とは4度めのタッグとなる。「確かに見透かされている気はするね。役者の一番いい状態を読み取ってくれるというか。役者が納得いくまでやらせてくれて、必ずそれに付き合ってくれる。三池監督は寝るのも食欲も度外視して、作品だけに没頭しているんです。僕はとにかく現場でニコニコしている監督を見るのが好きで。監督と個性的なキャスト陣、みんなで作品をよくしようとしている場所に身を置けたのが、今回すごくいい刺激になりました」【取材・文/成田おり枝】