カンヌ映画祭、ウディ・アレンのコメントが現地で波紋を呼ぶ
時折雨がぱらつくあいにくの天気だが、ついに第69回カンヌ国際映画祭が開幕した。
開会式に続くオープニング作品はウディ・アレン監督の『カフェ・ソサエティ』。1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台にしたロマンチック・コメディだ。アレン監督の作品はカンヌで上映されることが多く、今回でオープニング作品を務めるのは3回目だという。
しかし、なぜコンペ外の招待作品扱いばかりなのかと会見で聞かれたアレン監督の答えが波紋を呼んだ。「僕はコンペが好きじゃないんだ。小説や文学だって色々な作品がありジャンルだって様々なのに、全部をひっくるめて一番を決めるなんて、無理だよね。映画だって同じだよ。人によって好き嫌いがあるのが映画なんだし、それで良いんだから。スポーツじゃないのだから一番を競うなんて、僕は好きじゃないんだ」
これに対して審査委員長のジョージ・ミラーは答えた。「映画祭で審査員をすることは一番を決めることが重要なのではないと思う。僕は何が楽しいかって、ここにいるような素晴らしい映画人たちと、たくさんの映画をみて、意見を交わし合うのが好きなんだ。もちろん最終的に賞は決めるけれど、それが一番大切なことではないんだね。大切なのは、そして、楽しいのは、その過程なんだよ」
これから11日間、審査員たちも、プレスの人々も何本もの映画を見て、朝から晩まで映画のことだけを考える日々を過ごす。その、至福。これが映画祭の醍醐味である。
結果ではなく、過程を楽しむ。この言葉を今年の指針に。
あえて言ってみる。「戦いの火蓋は切って落とされた」。どうぞお楽しみに。【取材・文/まつかわゆま】
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