是枝裕和監督、『海よりもまだ深く』は「団地映画史に残る事件」と称えられる|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
是枝裕和監督、『海よりもまだ深く』は「団地映画史に残る事件」と称えられる

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是枝裕和監督、『海よりもまだ深く』は「団地映画史に残る事件」と称えられる

阿部寛主演、是枝裕和監督作『海よりもまだ深く』(公開中)で是枝監督と、団地好きユニット「団地団」の大山顕、佐藤大、速水健朗、山内マリコとのトークイベントが、5月26日に新宿ピカデリーで開催。自身が以前住んでいた団地でロケをした是枝監督は「最初は撮影しやすそうな団地を当たったんですが、全部断られたので」と苦笑い。

団地が登場する映画・アニメ・マンガ・小説に詳しい団地団。大山は「出身地を生かして撮ったのはブレイクスルーだなと。団地あるあるを演出として入れたくなるけど、これはそういうあざとさが1個もない」とほめちぎる。佐藤も「冷蔵庫を開けた時、よけなきゃいけない。あれはよく母親がやっていた」と、そのリアリティに感心する。

さら大山は「僕らが描くと、ノスタルジーに行っちゃう。でも、今回はジップロックが出てきた。ああ、いまを描く映画なんだなと。感動です。団地映画史に残る事件です」と興奮しながらコメント。

是枝監督は笑いながら「ジップロックという固有名詞は出してないけど、時間の積み重ねが見えないといけないと思ったので。いろんな時代のものが混ざっているのが特徴だから」と、小道具へのこだわりも述べた。

また、是枝監督は、本作に団地時代の思い出をたくさん入れたことを認め「自伝だと思われると、いろんな問題が生じるのであれですが」と言いながらも「つつじが咲く道も、ちょうちょの話も実話ベースです。映画なのか、記憶の中のことなのかわからなくなってきて。まるで、タイムスリップして自分の過去を見ている感じでした」とも語った。

『海よりもまだ深く』は、ダメな中年男(阿部寛)とその元妻(真木よう子)と息子(吉澤太陽)という不器用な家族の姿を描く家族ドラマ。本作は、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門へ出品された。【取材・文/山崎伸子】

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