宮藤官九郎、神木隆之介の“残念な小芝居”を絶賛!

インタビュー

宮藤官九郎、神木隆之介の“残念な小芝居”を絶賛!

宮藤官九郎の映画監督4作目は、笑いアリ、涙アリ、何でもアリの誰も見たことがない“地獄”が舞台。17才の若さで地獄に堕ちた大助(神木隆之介)が、好きな女の子とキスしたい一心で赤鬼・キラーK(長瀬智也)とともに転生を目指すコメディ『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』が、6月25日(土)に公開する。

今回、地獄のイメージを180度くつがえした宮藤監督と、間抜けでチャラい“三枚目”役で新境地を開拓した神木の対談が実現。この底抜けに明るくてバカバカしい、新たな宮藤官九郎ワールドの裏には、作品に至極真面目に向き合う2人の姿があった。

「宮藤さんの脚本は感情移入がしやすい」(神木)

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の宮藤官九郎監督と神木隆之介が対談!
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の宮藤官九郎監督と神木隆之介が対談!

――撮影期間を経て、お互いの印象を教えてください。

神木「宮藤さん脚本のドラマ『11人もいる!』の撮影時はほとんどお会いしていないですし、共演した映画『バクマン。』(15)でも一緒のシーンがなくて…。監督作品で関わらせていただくのは初めてでした」

宮藤「そうそう。『バクマン。』はマンガの練習だけ一緒で、撮影現場では顔合わせなかったもんね」

神木「これは『11人もいる!』から感じていたことなのですが、宮藤さんが書かれるセリフは、身近な言葉が多いと思うんです。例えば『コンビニ』ではなく、『セブン』とか『ファミマ』とか。僕たちが普段自然に使っている言葉なので、セリフに親近感が湧く。だからこそ、感情移入しやすいんです。宮藤さんの作品は演じるのがすごく楽しくて、『もっとブッ飛んだことやらせていただきたい!』って思います」

宮藤「神木くんはそうやって、どんどん攻めてくるんですよ。『そこまでやらなくていいよ』って何回か言いました(笑)。でも、そこですぐ止めてくれるのが神木くんの良いところ!調節できるのがすごい。大助は物語の中で一番変化していくキャラクターだから難しかったと思うんですけど、柔軟に演じてくれました」

神木「いやいや…。僕が演じる役はいつもツッコミ役なのですが、今回は初めてボケる役だったので超ドキドキしていました!」

「自分にとって一番都合のいい地獄を作りました」(宮藤)

「神木くんはついついいじめたくなる」と宮藤監督。神木を見てニヤリ…!
「神木くんはついついいじめたくなる」と宮藤監督。神木を見てニヤリ…!

――作品の舞台となる“地獄”が、コメディとはいえなかなか本格的ですよね。

宮藤「地獄は誰も行ったことのない場所だから、正解がない。なので地獄を舞台に物語を作るうえで、輪廻転生という概念がある仏教的な地獄が、自分にとって一番都合がよかったんです。死んでも、もう一度復活するチャンスがありますから。あと、いろんな拷問もあるし(笑)」

神木「おそらく、そのすべての責め苦を受けているのは僕だけです!もう万遍なく地獄を体験できたので、これから堂々と『地獄に行って耐え抜いたぞ!』と言ってもいいですか(笑)」

宮藤「うん(笑)。神木くんヘラヘラしてるから、つい平気なんだろうなって思っちゃうんです。神木くんに『大丈夫?できる?』って聞くと、『はい!はい!』ってものすごく元気に答えるので、ついいじめたくなる(笑)」

神木「大助自身も地獄について深く考えていないんです。『で、どうやったら生き返るんすか?』というような軽いノリなので、僕もそれに合わせてノリで…(笑)」

宮藤「そのチャラいノリを、こっちの説明なしにちゃんと理解して演じていたからすごいなって思いました。大助は、ちょっと頑張ってチャラいキャラを演じてるて感じが良いんですよね。服装もどこかイマイチで、端から見るとちょっと残念な奴だし(笑)。そんな小芝居が神木くんは上手なんですよ」

「ライブシーンは、普段の芝居では絶対に味わえない気持ち良さ」(神木)

【写真を見る】神木隆之介は地獄マスター!?「地獄のあらゆる責め苦を受けました」
【写真を見る】神木隆之介は地獄マスター!?「地獄のあらゆる責め苦を受けました」

――音楽が作品の大きな軸になっていますね。地獄専属ロックバンド“地獄図(ヘルズ)”のライブシーンも爽快でした。

宮藤「“地獄”とか“Hell”ってハードロックとかヘビーメタルの歌詞によく使われているし、ロックはどこか地獄を肯定しているイメージだったんです。そこで今回、地獄と音楽を繋ぎました。音楽のジャンルは限定したくなかったので、ボサノバやバラード、ゴスペルも登場します。神木くんの歌も良かったです!」

神木「猛特訓をしたんです…(笑)。ギターも撮影前に約4か月練習しました」

宮藤「一回大きいリハスタで音を出したときに、バンドの一体感がドッと出たよね。上手い下手関係なく演奏しているのを見て、良いなって。あの練習期間のおかげでムードができあがっていて、撮影もすごくスムーズだった」

神木「そうですね。実際にライブをするとなると本当にわからないことばかりだったので、ステージの上では、長瀬さんに頼りっぱなしでした。『地獄だからなんでもアリだよ!とにかく楽しんで!』と言ってくださって…。ライブシーンは本当に気持ちが良かったです。芝居をしているときには絶対に味わえない爽快な感覚でした!」

宮藤「そう!舞台は地獄だけど、青春映画なんだよね(笑)」

【取材・文/トライワークス】

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