アリス役のミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップとの再共演に感激
大ヒット作『アリス・イン・ワンダーランド』(10)から6年を経て、美しく成長したアリス役のミア・ワシコウスカにインタビュー。話題沸騰の続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(7月1日公開)で、再びワンダーランドに戻ったアリスは、今回もスリリングな大冒険を繰り広げる。来日したミアに、ジョニー・デップら豪華キャストとの共演秘話や、苦労した撮影エピソードについて聞いた。
今回のアリスは、悲しい過去に心を奪われたマッドハッター(ジョニー・デップ)を救うため、時間をさかのぼる。ミアは、久しぶりにジョニー・デップと共演し、またいろんな刺激を受けた。「ジョニーは本当に優しい方。クリエイティビティにあふれる方だし、共演するととても楽しいの。マッドハッターというキャラクターを演じている姿を、また目の前で見ることができて、本当にうれしかったわ」。
白の女王役のアン・ハサウェイからもインスピレーションを与えられたと言う。「アンの仕事へのアプローチのし方はとても素敵よ。全く自意識過剰なところがなくて、自分の仕事に対してユーモアをもってつき合っている感じ。いっしょにいると、本当に楽しいの」。
あるシーンの撮影中、寒さに凍えたと言うミア。「今回の撮影でいちばん辛かったのは、ずぶ濡れになるシーンね。確かイギリスで11月頃に撮影したんだけど、めちゃくちゃ寒かったわ。だって、1トンくらいの水が入ったバケツをバシャンとかけられるんですもの」。
『アリス・イン・ワンダーランド』で一躍脚光を浴びてスターダムに駆け上ったミアだが、決して浮足立つことはなく、その後いろんな役柄を演じて女優としての幅を広げてきた。
「1本目の成功では、確かに自分の露出はかつてないほど増えたし、世間的にもそういう目で見られているという感覚はあったけど、それはほんの少しだけだった。いまもプレミアなどがあると感じる程度ね。私には、元々シドニーというホームベースがあり、そこに戻れば普通の生活が送れるというのも大きいと思うわ」。
ミアが女優として面白いのは、自身の美貌に抗うかのように、心に闇を抱えていたり、狂気に走ったりする個性的な役柄にチャレンジし続けている点だ。組んできた監督の顔ぶれを見ても、『永遠の僕たち』(11)のガス・ヴァン・サント監督、『イノセント・ガーデン』(13)のパク・チャヌク監督、『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(14)のデヴィッド・クローネンバーグ監督、『クリムゾン・ピーク』(15)のギレルモ・デル・トロ監督といった奇才たちが目立つ。
「私は元々、映画が何よりも好きなの。だから、好きな監督の作品に出られるチャンスは絶対に逃したくはないわ。毎回違うタイプの役を演じることで、いろんなことを学べたこともラッキーだった。出演作については、常にいままでやったことのないものを選びたいと思っているの。たとえば、クローネンバーグ監督の『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は、サイコパスでありながら元気はつらつのキャラクターで、ハッピーな悪役という点が気に入ったからやりたいと思ったの」。
ミアは、演じたアリスについて大いに共感できたし、学ぶことが多かったと言う。「私がアリスを好きなところは、自分の価値をわかっていて、それを認めているところね。誰しも時には周りの人からやりたくないことを押し付けられたりするけど、やっぱりいつだって自分に忠実であるべきだと思うの。自分の好きなことをやることで、自分も幸せになれるし、良い人でいられるんじゃないかしら」。
そう言い終わった後、すぐにミアは「でもまあ、良い人である必要はないのかも」と言い直す。「良い人でいるというのは、あくまで自分で妥協のない範囲内においてよ。自分の意志を曲げてまで、良い人である必要はないと思うから」。
そう言って穏やかな笑みを浮かべたミア。アリス同様に、少女から大人への階段をしっかりとした足取りで上がってきたことが伺える。『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』では、ひと皮向けたミアの凛々しい勇姿を見てほしい。【取材・文/山崎伸子】