細田守監督、『時をかける少女』の意外な舞台裏を明かす
細田守監督『時をかける少女』公開10周年特別企画 “博物館で野外シネマ”上映及びトークイベントが、7月15に東京国立博物館で開催。細田守監督と松嶋雅人・平常展調整室長によるトークイベントが開催された。細田監督は「今日は『時をかける少女』が公開されてちょうど10年なので、とても光栄です」と挨拶をした。
松嶋室長は公開当時を振り返り「いい年をしてましたが、号泣でした。思い出が強く残っています」と興奮気味に言う。細田監督は、2006年の公開当初、6館からスタートしたと振り返り「観客の99%が男の方で、80%がメガネをかけていた。1回目に来てくれた人たちが観終わった後、いろんな人に広げてくださったんじゃないかと。だんだん動員が増えていきました」と感謝した。
『時をかける少女』では、主人公である高校2年生の紺野真琴が、踏切事故に遭遇したことをきっかけに、時間を飛び越える能力を得る。彼女の叔母・芳山和子が学芸員として勤めているのが東京国立博物館だ。松嶋室長は「この博物館に愛をもってくれてるんだなと思いました。でも、なんで東京国立博物館が登場することになったのですか?」と細田監督に質問する。
細田監督は「シナリオを作ってる時、大学の同級生である松嶋先生と久しぶりに飲んだんです。そういう時は、見たり会ったりした人に影響されちゃう。それで、学芸員の仕事を聞いているうちに、シナリオのなかの人物に結びついたのかなと」。
松嶋先生は「細田監督は、思い立ったらいろんな取材をされる。『時をかける少女』の時も、途中で細かい質問をいっぱいいただいた。普通は注意されるような行動を主人公がしていたりするんですが、絵コンテを見せてもらった段階で、やめてくれと言っても絶対聞きませんでした」と苦笑いした。
最後に細田監督は、『時をかける少女』の面白さについて「時がモチーフになっていて、出てくるものが時代と共に変化していっても意味が出てくるところです」と分析。「10年経ってそう思います。集まっていただいた観客席の変化も含めて。こういう形での未来はとても感慨深いです」とうれしそうな表情を見せた。【取材・文/山崎伸子】